「社外取締役3人の小型株」、安倍政権下で株価2.5倍-統治評価

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社外取締役の人数で、日本企業の株価パフォ ーマンスに格差が生まれている。6月からは企業に責任ある行動を求め る規範も定められるため、投資家の間でコーポレートガバナンス(企業 統治)を重視する流れが一段と強まれば、銘柄間の株価格差が広がる可 能性もある。

大和証券によると、株式市場が第2次安倍政権の誕生を見越し た2012年11月から15年4月末までにTOPIX(配当込み、以下同じ) は2.25倍に上昇。これに対し独立社外取締役がゼロの企業は2.08倍にと どまり、1人は2.22倍だった。2人の場合は2.23倍、3人以上は2.33倍 となっており、社外取締役の数が増えると上昇率も拡大した。

政府の成長戦略を受けて策定された新たなコーポレートガバナン ス・コードは、6月から適用が開始される。東証1部上場企業は、経営 から独立した立場の社外取締役を少なくとも2人以上選任することが原 則となり、選任しない場合には企業側に説明責任が求められる。大和証 が試算したデータによると、株式市場は取締役ゼロ-2人については評 価しないものの、取締役3人以上は評価する結果となっている。

大和証の目野博之クオンツアナリストは、「社外取締役を増やすと コーポレートガバナンス向上を通じて株主資本利益率(ROE)向上に もつながり、株価にプラスに働く」と分析。6月以降は「高ROE企業 など、よりクオリティ投資に対する注目度が上がるだろう」とみる。

小型はさらにアウトパフォーム

時価総額が相対的に小さいTOPIXスモールの構成企業では、社 外取締役数がゼロ-2人のケースで2.06-2.1倍上昇とTOPIXをア ンダーパフォームしたものの、3人以上では2.47倍と大きくアウトパフ ォームした。目野氏は、小型の方が3人以上のパフォーマンスが良くな った点について「小さな企業はトップに権限が集中しやすい。ガバナン スが大企業に比べて不安点があるため」と指摘した。

一方で目野氏は、「社外取締役の人材には限りがある。3人目の人 材は枯渇しているため、これから増やそうという会社はガバナンスを強 化したくとも、なかなか難しい」と言う。その結果、「3人以上と2人 以下のパフォーマンス格差はさらに広がっていく」と予想する。

東京証券取引所がまとめた最新の独立社外取締役選任状況(昨年7 月時点)によると、東証1部で選任している会社は61%。前年の47%か ら上昇した。平均は1.57人で、人数別ではゼロが39%(700社)、1人 が40%(724社)、2人以上か22%(390社)となっている。

コーポレートガバナンス・コードへの対応から、上場企業の間では 関連人事の発表も継続している。ディー・エヌ・エーでは、カーライ ル・ジャパンのマネージングディレクターである大塚博行氏などを社外 取締役候補とし、三井住友フィナンシャルグループはニューヨーク州弁 護士のアーサー・M・ミッチェル氏などを候補とし、社外取締役の人員 を増強するとした。

大和証による取締役数とパフォーマンスとの関係は、12年10月末 を100として各ポートフォリオごとにリターンを時価総額加重平均した ものを累積で試算した。社外取締役の人数は、ことしの3月6日時点で 取得可能なデータを使用している。

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