タカタ、難局どう乗り切るのか-全米史上最大規模リコール

自動車部品メーカーのタカタが自社製エアバ ッグの欠陥を認め、米国でのリコールを全米に拡大した。対象台数が前 例のない規模まで膨れ上がり、集団訴訟のリスクも抱えるタカタはこの 難局をどう乗り切るのだろうか。

全米への拡大により、累積対象車は従来のほぼ2倍の約3400万台と なり、米国自動車業界の歴史上、最大規模に発展した。タカタ製エアバ ッグの不具合をめぐっては2008年以降、ホンダやトヨタ自動車、日産自 動車など11社が国内外でリコールを繰り返してきた。

しかし、今に至るも特に日本の自動車メーカーとタカタとの関係に 大きな変化は起きていないようにみえる。米運輸省道路交通安全局 (NHTSA)のローズカインド局長は、リコール対象車の交換部品が 不足しており、すべての修理完了に何年も要する可能性があると述べた が、タカタは今もその交換部品の生産に携わっている。

タカタのエアバッグ世界シェアはスウェーデンのオートリブに次ぐ 2位で、米TRWとダイセルを含む主要4社の合計シェアは約8割に及 ぶ。業界全体の供給能力の限界が、自動車メーカーがタカタとの関係を 断ち切らない理由の一つではないかとJSCオートモーティブ・コンサ ルティングのマネージング・ダイレクター、ヨッヒェン・シーベルト氏 はみている。

タカタの野村洋一郎最高財務責任者(CFO)は今月14日に都内で 開いた投資家向け説明会で、自動車メーカーに対して支払うリコール関 連費用について、一度に多額に上らないよう複数回に分けて支払うこと を要請しており、ほぼ合意をもらっているとの認識を示したと出席者の 1人が話していることも現在の同社と顧客との関係を示唆している。

「重大な局面」

全米拡大の発表を受けた市場の反応は厳しいものだった。20日のタ カタ株価終値は前日比10%安の1353円と急落。約半年ぶりの下落率にな るまで売り込まれた。

三菱UFJモルガン・スタンレー証券の安蒜信彦シニア・クレジッ トアナリストは20日付のリポートで、タカタはこれまで自動車メーカー が自発的に回収する調査リコールについて協力にとどまり、製品保証引 当金の計上など「財務上の手当てを一切行ってこなかった」と指摘。今 回、自動車メーカー各社の調査リコールから米国政府指導のもとでのリ コールに変わったことで、「同社の信用力判断上、重大な局面を迎え た」としていた。

メリルリンチ証券の上田祐介チーフクレジットアナリストは、タカ タはリコール費用に備えて3000億円程度の引当金を積む必要が出る可能 性もあると指摘する一方、エアバッグ以外の事業からのキャッシュフロ ーは安定しており、取引行の追加融資や顧客自動車メーカーの支援が得 られれば、生き残れるだろうと話した。

運転席用は対処済み

タカタは20日の声明で、今回の範囲拡大で「相安定化硝酸アンモニ ウムを使用した運転席側インフレータのうち旧仕様のものの製造開始か ら製造終了までの製品全てが対象」になり、リスクがあると考えられる 製品はすべてリコール済みになったとした。

タカタ広報担当の松本英之氏は、助手席エアバッグに関してはまだ 米国での追加リコールも考えられると話した。また、米国での拡大によ り、日本など他国でも同様の措置が必要になる可能性もあると語った。

松本氏によると、リコール総数は拡大前の1570万台から3380万台に 増えた。内訳は運転席1760万台、助手席が1620万台としている。この総 数には08年以降、各メーカーが実施し、タカタも応じて損失処理や製品 保証金の引き当てなど財務上の対応を取ってきた通常リコールも含まれ ている。

--取材協力:Ma Jie.