日本株は小幅に5日続伸、国内景気改善と還元評価-保険強い

更新日時

21日の東京株式相場は小幅に5日続伸。国内 景気の改善期待を背景に、保険や銀行、パルプ・紙、不動産、食料品な ど内需関連株中心に買いが入った。株主還元強化の姿勢が評価された損 保ジャパン日本興亜ホールディングスなどが急伸した影響で、保険は業 種別上昇率でトップ。

半面、為替市場で円が強含む中、輸送用機器や精密機器、海運など 円安恩恵業種の一角は軟調。独子会社の破産リスクで急落した LIXILグループなど金属製品株も安く、株価指数の上値を抑えた。

TOPIXの終値は前日比3.40ポイント(0.2%)高の1646.80、日 経平均株価は6円31銭(0.03%)高の2万202円87銭。

ピクテ投信投資顧問の鈴木毅シニア・ポートフォリオ・マネジャー は、「国内での好循環や米景気の強さから、下期に向け企業業績が伸び る方向にあるとの期待感が引っ張っている」とみていた。ただ、短期的 にはバリュエーション面からも「良い部分を織り込み、一段と株価が切 り上がるには下期に対する業績確信度が必要」とも言う。

日本銀行21、22日に開く金融政策決定会合で、これまで「緩やかな 回復基調を続けている」としてきた景気判断の上方修正を検討する、 と21日付の日本経済新聞朝刊が報じた。メリルリンチ日本証券の吉川雅 幸エコノミストは前日発表された1-3月期GDPのプラス成長につい て、日本経済が財政など政策に主導された回復から民間需要に支えられ た自律的回復に移行しつつある兆候とし、4-6月期も実質で前期比年 率2.4%成長と予測した。

また、日本政府観光局が20日に発表した4月の訪日外客数は前年同 月比43.3%増の176万4000人となり、3カ月連続で単月の過去最高を更 新した。みずほ証券では、15年訪日外客数予想を従来の1562万人から前 年比26%増の1686万人へ大幅に上方修正した。

三菱UFJモルガン・スタンレー証券の吉越昭二シニア投資ストラ テジストは、日銀をめぐる報道や訪日客のインバウンド消費への期待に 言及しながら、「景気がいい方向にあると見えつつある」と話した。

寄与度上位は銀行、保険

TOPIXの上昇寄与度1位は銀行株。日本銀行は21日、貸出先別 貸出金の四半期調査を公表した。モルガン・スタンレーMUFG証券で は同データの特徴について、不動産業向けの貸出成長率が3月末で大き く加速したことや製造業の設備資金向け貸出も緩やかながら回復は続い ている点だとし、投資家が伸びを期待する分野に変化がみられていると 指摘。投資判断の「アトラクティブ」を確認した。

また、増配方針や自社株買い計画が好感された損保日興HとMS& ADインシュアランスグループホールディングスが急伸し、保険は TOPIXの上昇寄与度で2位だった。このほか不動産株は、2014年度 の不動産業向け新規貸出額は10兆円超と07年度と同水準になり、不動産 市場がバブル的兆候へ突入し始めたとドイツ証券では指摘した。

一時マイナス圏

午後の取引前半は銀行株主導で株価指数が一段高となったが、ド ル・円相場が一時1ドル=121円1銭まで円が強含むと、後半は失速。 TOPIX、日経平均とも一時マイナス圏に沈む場面がみられた。連騰 後の高値警戒感から、東証1部では値下がり銘柄が優勢。前日の海外市 場では、4月の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録の内容を受 け、121円48銭と2カ月ぶりのドル高・円安水準に振れていた。

いちよしアセットマネジメントの秋野充成執行役員は、世界の過剰 流動性が拡大する中、「金融政策の方向性の違いから通貨ではドル高・ ユーロ安・円安が進んで日欧の企業業績は改善し、米国株横ばい・日欧 株高という流れが戻ってきた」としつつ、当面の日本株は「上値も重 く、日経平均2万円を定着させて次を材料を待つ」との認識を示した。

東証1部33業種は保険や非鉄金属、紙パ、銀行、電気・ガス、不動 産、機械など17業種が上昇。金属製品やその他金融、空運、海運、ゴム 製品、医薬品など18業種は下落。東証1部の売買高は25億2498万株、売 買代金は2兆8000億円。上昇銘柄数は725、下落は1033。

売買代金上位では東京電力が急伸、野村証券が投資判断を「買い」 に上げたパナソニックも買われ、NTTやJT、東京建物も堅調。独子 会社が破産手続き開始の申し立てを検討するとしたリクシルGは売ら れ、ソニーやオリエンタルランド、オリックス、ヤマハ発動機も安い。

--取材協力:佐野七緒.