三井物社長:提携戦略で非資源強化-管理部門から営業前線へ

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三井物産の安永竜夫社長は19日、ブルームバ ーグとのインタビューで、資源価格に左右されない収益基盤の構築が課 題とし、他社との提携戦略を拡大することで資源エネルギー以外の事業 を強化する考えを示した。本体の管理部門の人員を削減し、営業現場に 配置転換することで収益力強化につなげる考えも明らかにした。

安永社長は「過去10年を振り返ると資源エネルギー以外の強化が遅 れ気味になっていたことは率直に認めざるを得ない」と指摘。「資源価 格が下落している現状においては資源エネルギー以外でどうやって手を 打っていくかが最大の課題」とし、社長自ら積極的にトップ交渉を進め るなど「しっかりとしたパートナー戦略がポイントになる」と述べた。

また、会社組織が大きくなる中で「内向きの仕事」が増えている傾 向もあるとし、人事総務や経理など管理部門に属する人員の1割弱に相 当する100人程度を関係会社や海外支店など営業の現場に再配置するこ とを検討しているという。「社員全体が現場である外に出て行って新し い仕事を作る。あるいは既存事業の収益極大化を図る」との狙い。

原油・天然ガスや鉄鉱石に強みを持つ三井物産の資源エネルギー事 業の前期(2015年3月期)の純利益は大手5商社中トップ。しかし、非 資源の純利益では最下位だった。今期の純利益計画は市況下落が響き、 前期比22%減の2400億円。非資源に強い伊藤忠商事に抜かれる見通し で、住友商事も2300億円と迫る。

野村証券の成田康浩シニアアナリストは「三井物産にとって非資源 事業の強化は長年の課題」と指摘。これまでの投資案件においても計画 通りの利益が出ていない案件も多いとして「鉄鉱石や原油市況が回復し なければ今期純利益2400億円の達成も楽ではない」と見る。

食糧や農業など狙い

安永社長は資源価格の変動に左右されない分野として食糧と農業、 メディカル・ヘルスケア、衣食住などといった分野の強化を図る方針を 示した。コンビニエンスストアを展開するセブン-イレブン・ジャパン との提携拡大を模索していることを明らかにしたほか、海外での穀物集 荷・販売事業でも提携戦略によってブラジル以外での拡大を図る。

資源事業に関わる周辺事業の強化も進める。モザンビークで参加を 決めた石炭の開発事業では、貨物鉄道や港湾開発も一体化して手掛け る。「貨物事業では石炭のみならず将来的には一般貨物や食料等アフリ カの消費ニーズを支えるような輸送事業として拡大発展させていきた い」と語った。同国では石油・天然ガスの探鉱開発事業にも参加してい るが、派生して化学品事業にも参入を目指す方針だ。

安永氏は「仕事の根幹にあるのは国の発展にいろんな形で寄与して いくこと」と指摘。「裾野の広い国と国との関係に貢献できるのは、資 源エネルギーだけでなく幅広い事業を手掛けるわれわれだからできると の思いがある」として「資源会社になるかというと、そういう選択肢は 持っていない」と述べた。

市況は底入れ

鉄鉱石や原油市況については「底打ちした」との見方を示した。た だ「今の価格は下がり過ぎだと思っているが、どのくらいのスピードで 回復するかは想定しづらい」とも指摘。資源関連の投資については「高 い原油価格を前提とした投資は今は考えていない。厳選していくとそれ ほど多く候補があるわけではないが、ボトムで拾えるものは狙っていき たい」と述べた。既存案件の立ち上げが最優先だと話した。

株主還元については「資源価格の下落は想定以上に早かったが、キ ャッシュフローは想定の範囲内。安定性と継続性を重視する」として成 長投資との両立を図る考え。自社株買いについては「機動的な株主還元 の手段として常に考えている」と述べた。

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