【コラム】ギリシャが今、国民投票を実施したら-エラリアン

2011年にギリシャのパパンドレウ首 相(当時)が欧州主導の政策受け入れの是非を問う国民投票の実施を宣 言した時、欧州諸国はこぞって大反対し思いとどまらせた。先週は逆 に、ドイツがギリシャに国民投票を勧めたにもかかわらず、ギリシャ政 府はこれに背を向けた。

この変化を理解するために、11年を振り返ってみよう。当時はギリ シャ以外の周辺国も市場の信頼回復に向けた経済改革に苦戦しており、 ギリシャに国民投票をさせればこれら諸国にとって悪しき前例となる恐 れがあった。さらに、国民投票の結果ギリシャがユーロ圏を離脱 (GREXIT)することになった場合、当時は悪影響を封じ込める手 段や制度がまだ整備されていなかった。

しかし約4年が過ぎた今、GREXITの悪影響について欧州は当 時ほど懸念していない。市場は落ち着いているし周辺諸国の財政再建は 進展した。ギリシャ問題に対応する制度や手段も強化された。欧州の当 局者の多くが、長期的にはGREXITが通貨同盟のためになるという 考えに傾きつつあるようだ。特に、他のメンバー国が強制するのではな くギリシャが自分から出て行ってくれるならなおさらだ。

一方、緊縮緩和を公約に政権の座に就いたギリシャの与党、急進左 派連合(SYRIZA)の側から見ると、国民投票はいずれの結果にな っても望ましくない。

債権者側の求める措置が幅広く支持されれば、SYRIZA内の結 束が揺らぐほか、同党が選ばれた選挙結果の信頼性にも疑問符が付く。 そうなれば総選挙につながる可能性があるが、その結果はSYRIZA にとって極めて不透明だ。一方、債権者側は強い姿勢で交渉に臨むこと が可能になる。

救済条件の措置が否決された場合もギリシャ政府に良い結果とはな らない。資本流出が加速し大規模な銀行取り付けリスクも生じる。欧州 中央銀行(ECB)が緊急流動性支援(ELA)を通じてギリシャの銀 行システムを支えるのは難しくなり、ギリシャの経済と財政は崩壊に向 かう。大混乱の中でユーロ圏離脱を強いられるのは時間の問題になるだ ろう。

ギリシャ政府が望むのは、コントロールを保ったまま緊縮緩和や構 造改革見直し、追加の債務減免や大規模資金注入を交渉していくこと だ。だからギリシャは国民投票を実施したくない。同じ理由で欧州のパ ートナーらはそれを勧め続ける。

(モハメド・エラリアン氏は、ブルームバーグ・ビューのコラムニ ストです。このコラムの内容は同氏自身の見解です)

原題:Why Greece Won’t Hold Referendum on Reforms(抜粋)