ネズミを食べ尻尾をコメと交換-干ばつ被害のフィリピン

フィリピンで農業を営むフアニト・マサンカ イさんは、夜になると懐中電灯と弓矢を持って農場へと向かう。妻と7 人の子供たちのためにネズミ狩りをして食料を確保する。

マサンカイさんらフィリピンの農民は今年のエルニーニョ現象の影 響を早くも受けている。エルニーニョは世界の気候パターンを変化させ る現象。2月以降干ばつが続き、マサンカイさんは代替食料を探さざる を得ない状況となった。フィリピン政府は農作物に被害を及ぼす害獣の 駆除プログラムの一環として尻尾と引き換えにコメを提供している。尻 尾はマサンカイさんが食べているネズミのものだ。

「焼いたり、アドボ(肉や野菜を煮込んで作るフィリピン料理)の ように調理したりして食べる。尻尾を切り取り、乾燥してコメと交換す る」。南コタバト州の町で政府から30キログラムのコメを受け取るため 列に並んで待っていたマサンカイさんはそう語る。

気候学者らは長年にわたりエルニーニョ現象の再発を予想してきた が、発生していることで今月合意した。深刻なエルニーニョ現象は1997 -98年以降、発生していない。米海洋大気局(NOAA)によれば、97 -98年に発生した際には約2万4000人が死亡し経済損失は約340億ドル (現在のレートで約4兆700億円)に上った。

米国と日本のほか、オーストラリアも12日、エルニーニョ現象の発 生を宣言。豪州と東南アジアでの干ばつは同現象の強度を示唆している 可能性がある。

国連食糧農業機関(FAO)のシニアエコノミスト、デービッド・ ダーウ氏(バンコク在勤)は電子メールで、「エルニーニョ現象がどの 程度強くなるかは依然不明だ。この現象によって干ばつが深刻化すれ ば、インドネシアやフィリピン、インドのコメ生産が影響を受ける可能 性が最も高く、バングラデシュにも波及するかもしれない」と指摘し た。

原題:Farmers Eat Rats, Trade Tails for Rice as El Nino Drought Begins(抜粋)

--取材協力:Supunnabul Suwannakij.

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE