【クレジット市場】お家が一番、世界的な債券急落で国内回帰

このところの世界的な債券相場急落で金融市 場は揺らいだが、日本国債には不幸中の幸いとなり得る現象が起きてい る。

政府データによれば、日本の投資家は4月に外債を2兆8600億円相 当売却し、今年に入って初の外債売り越しとなった。運用担当者による 国内志向のおかげで、日本国債は3月末以降の損失が0.5%にとどまっ ている。ブルームバーグと欧州証券アナリスト協会連合会 (EFFAS)がまとめたデータがそのように示している。一方で米国 債とドイツ債の成績はそれぞれマイナス1.7%とマイナス4%近く。

日本国債の打たれ強さは、日本の生命保険会社や年金基金が抱える 資産599兆円の影響力を反映している。こうした機関投資家は株式や国 外の債券などへと分散投資を進めてきたが、高齢化が世界一のスピード で進む日本の契約者に約束する支払いを考えれば、結局は日本国債が頼 みの綱になる。

三菱UFJ投信の下村英生チーフファンドマネジャーは「リスクや 不透明感に見舞われると、日本の投資家は国内回帰を始める。これから 海外投資にはもっと慎重になるだろう」と話す。

日本国債の10年物利回りは15日遅くの時点で0.39%。1月に付けた 過去最低の0.195%から上昇しているが、過去1年の平均0.45%は下回 っている。下村氏は年末までに0.2-0.3%に低下するとみている。

日本銀行の国債買い入れによる支えもあり、世界各地で債券が値下 がりする中で日本国債はある程度の安心感を生保や年金基金に与えた。 米国の利上げ開始に投資家が備え、同国からドイツ、オーストラリアに 至る国々の債券が4月に下がり始めた。

日本国債が底堅いとはいえ、利回りが低過ぎるマイナス面があると 指摘するのは、日興アセットマネジメント(オーストラリア)のロジャ ー・ブリッジス氏(シドニー在勤)だ。チーフ・グローバルストラテジ ストとして金利・為替を担当する同氏は「1%を下回るものは全て割高 にみえるものだ」と述べた。

米10年債利回りは同年限の日本国債を180ベーシスポイント(b p、1bp=0.01%)上回る。この利回り格差の過去5年平均は159b p。

それでも過去2カ月に円が対ドルで1.6%上昇した事実は、日本の 投資家が賢明な選択をしたことを際立てる。EFFASのデータによれ ば、基準通貨を円にするなどの調整を加えたベースで日本の投資家は過 去2カ月に米国債で2.3%失った格好になる。これは集計対象の26の債 券指数の中で最悪のリターンだ。

SMBC日興証券の嶋津洋樹シニア債券エコノミストは、日本国債 市場は国内勢が占める部分が「非常に大きい」ので他国との連関性が低 いとして、「これが日本国債市場の安定性を支える」と述べた。

原題:There’s No Place Like Home: Japan Retreats From Global Bond Rout(抜粋)