【日本株週間展望】反落、金利波乱と保守的決算-東芝問題も

5月3週(18-22日)の日本株は反落する見 通し。世界的な金利波乱を嫌い、主要国・地域の中で年初来のパフォー マンスが優位にある日本、欧州株には売りが出やすい状況だ。ほぼ峠を 越えた国内企業の決算発表も、今期の会社計画は増益ながら事前予想に 届かず、相場全般を押し上げるには迫力不足の感は否めない。

東海東京調査センターの中井裕幸専務は、米国の利上げ先送りの方 向性が決まった「3月18日が屈折点だった。原油はボトム、ドル指数は ピークを付け、米国やドイツの金利もボトムアウトし、流れが変化し た」と指摘。現在はリターンリバーサルの局面にあり、日本株も「休養 期に入っている。次の変化日めどは6月中旬の連邦公開市場委員会 (FOMC)」とし、当面は上値が重く、調整含みの展開を予想する。

第3週の日経平均株価は、週間で1.8%高の1万9732円92銭と3週 ぶりに反発。不安定な海外金利動向が懸念される半面、ギリシャ情勢へ の警戒感が和らぎ、日本銀行の指数連動型上場投資信託(ETF)買い への期待感、15日の取引で広告代理店大手の電通が急騰するなど、企業 の株主還元姿勢に対する評価が押し上げ要因となった。

欧米の長期金利が波乱の様相を呈している。ドイツの10年国債利回 りは0.7%台まで上昇し、昨年12月以来の高水準。ここ数日は取引時間 中に低下する場面があっても、終値で上昇するケースが続いた。4月17 日には過去最低の0.049%を付けていた。米10年債利回りも2.2%台と、 4月中旬の1.8%台から急激に上昇している。

ドイツ銀行金利調査チームのグローバルヘッド、ドミニク・コンス タム氏は米連邦準備制度理事会(FRB)が保有する米国債のカストデ ィ残高がここ2週間でおよそ300億ドル増えた点に言及。外貨準備高が 減少しているにもかかわらず、当局が米国債保有に傾く背景には欧州中 央銀行(ECB)と日本銀行の量的緩和があるとした。外貨準備の過 剰・過少を測定する同行の指標によると、「海外からの米国債への投資 が過剰であることを示している」と言う。

SMBC日興証券チーフ株式ストラテジストの阪上亮太氏は、「フ ァンダメンタルズに照らし長期金利水準が極めて低く、ささいなきっか けで乱高下しやすい『空中戦』の領域」と指摘。長期金利の低下トレン ドが転換したかどうかの判断には慎重さが必要だが、「やや長い目で見 た場合のポテンシャルは、長期金利上昇の側に軍配が上がる」とみる。

増益率は予想比8ポイント下振れ

長期金利の低下傾向が転換するなら、「出遅れ感が強く、割安に放 置されている高ベータ銘柄が有望。これまで高パフォーマンスを記録し てきた低ベータ、低ボラティリティ、高PERの銘柄が危険」と同氏。 有望業種として証券、保険、銀行など金融セクター、鉄鋼や非鉄金属な ど素材セクターを挙げた。

主要企業の決算発表がほぼ一巡した。第2週の日経平均採用銘柄の 上昇率上位に並んだ三井金属、コニカミノルタ、東ソーなど前期実績や 今期計画の内容が評価され、買いを集めた銘柄もあるが、全般的には 「例年通りに保守的である」と三菱UFJモルガン・スタンレー証券チ ーフストラテジストの芳賀沼千里氏は言う。

同証のまとめでは、発表率67%の段階で東証1部上場企業(金融除 く)の経常利益は2015年3月期が10%増益、16年3月期は11.8%増益計 画となった。電気・ガスや小売、非鉄、繊維、電機、卸売、医薬品 が10%を超す増益を見込み、その他製品やサービス、不動産、建設は減 益を想定。今期は事前のアナリスト予想を8.4ポイント下回っている。

東芝が不適切会計、安保法制

増配や自社株買い、コーポレートガバナンス(企業統治)の強化な ど経営効率の向上につながる明るい材料の多かった企業ニュースで、第 2週は日本を代表する総合電機メーカー、東芝の不適切会計問題がクロ ーズアップされた。

東芝は15年3月期の業績計画を未定に変更、14年3月期以前の過年 度決算の修正を行う可能性もあると8日に発表し、週明け11日の東芝株 はストップ安となった。12日に375.2円と13年1月以来の安値水準まで 急落した後、やや持ち直しているが、先行き不透明感は強い。

13日深夜には、14年3月期までの3年間で営業利益は累計で500億 円強減額される見込みと公表したが、今後始動する社外専門家による第 三者調査委員会の調査結果次第では要修正額が変わる可能性もある。ゴ ールドマン・サックス証券では、500億円強にとどまると考える根拠は 乏しいと厳しい見方を示す。

また、政府は自衛隊の活動範囲を広げる安全保障法制の関連法案 を14日の臨時閣議で決定した。日本近海などで米軍が攻撃された場合、 集団的自衛権の行使などを可能にする。安倍晋三首相は会見で、「戦争 法案などといった無責任なレッテル貼りは全くの誤り。あくまで日本人 の命と平和な暮らしを守るため、あらゆる事態を想定し、切れ目のない 備えを行うのが今回の法案」と説明し、集団的自衛権については「極め て限定的に行使できることとした」と述べた。

東海東京調査の中井氏は、当面の日本株の7つのリスクとして「米 利上げの前倒し」「原油」「ギリシャ」「中国経済」「国内企業収益の 足踏み」「セル・イン・メイ」とともに、「安保法制の閣議決定による 安倍政権の経済優先からのシフト」を挙げている。

第3週の投資材料は、国内で18日に3月の機械受注、20日に1-3 月期の国内総生産(GDP)、21-22日に日銀の金融政策決定会合があ り、米国では19日に4月の住宅着工件数、21日に景気先行総合指数、欧 州では19日にドイツのZEW景況感指数が発表予定だ。

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