年内利上げ、できますか-FOMCの本気度を疑う債券投資家

米連邦公開市場委員会(FOMC)は年内の 利上げに向け市場に準備を整えさせるという。その取り組みを続けるこ とに異論はないが、取り組み自体はまったく効いていない。

引き締めサイクルの開始を先に延ばせば、その分トレーダーらも借 り入れコスト上昇開始の予想を後ずれさせる。14日の先物市場に反映さ れたトレーダーらのフェデラルファンド(FF)金利の予想水準は、12 月までに約0.3%と、年初来の最低になった。FOMCが3月に示した 予想水準の半分だ。

年内利上げ意欲はFOMCのはったりだ、というのが市場の見方 だ。株式や債券市場に波乱を起こさずに今年利上げに踏み切るのは不可 能であり、当局も本当のところは避けたいだろうとトレーダーらは踏ん でいる。政策当局者の選択肢は二つ。もう一度市場にタントラム(かん しゃく)を起こさせるリスクを冒すか、歴史的低金利の恩恵に長くあず かりたいトレーダーらに屈するかのどちらかだ。

ビアンコ・リサーチのジム・ビアンコ社長は電子メールで、 「FOMCは市場が織り込んでいないときに利上げを強行して市場と 『闘う』よりも、最終的に市場に屈服する可能性が高まっている」と指 摘。FOMCは今も低金利を「有益なものと認識しており、これまで数 年かけて築いた功績を無駄にしたくはないと考えているだろう」と続け た。

その一方で米金融当局から聞こえてくるのは、利上げは来る、恐ら く今年来る、市場は荒れ模様になるだろうとの声だ。

「レジームシフト」

アトランタ連銀のデービッド・アルティグ調査局長は13日に初回利 上げの時期について、夏の終わりの可能性が最も高いと発言。サンフラ ンシスコ連銀のウィリアムズ総裁はその前日、どの金融政策会合におい ても利上げ開始は可能だと述べた上で、6月の会合にかけては「様子見 の姿勢だ」と述べた。

もっと強烈な言葉を用いたのはニューヨーク連銀のダドリー総裁 だ。利上げの時期は分からないが、引き上げに踏み切れば金融市場の動 揺につながる 「レジームシフト(急激な変化)」の引き金になるとの 見通しを示した。

先例のない大規模な金融緩和を6年以上続けてきたお陰で、米経済 には回復の兆しが見られるが、最近の経済データは相次いで期待を裏切 っている。4月の米小売売上高は小幅増の予想に反し、横ばいとなっ た。2009年に10%だった失業率は5.4%に低下したものの、賃金は伸び 悩み、個人消費も冴えない。

世界の債券市場では5月に莫大な資金が吹き飛んだ一方、短期債利 回りにはさほど変化が見られない。これはFOMCが緩和パーティーを 早々に店じまいするつもりがないと、投資家が期待している兆候だ。4 月30日に0.57%だった米2年債利回りは、0.55%に低下している。

衝撃に備えよと米当局が市場に警告するのは構わないが、大抵のト レーダーは本気にしていない。

原題:Debt Traders to Fed: We Dare You to Try Raising Rates This Year(抜粋)

--取材協力:Liz Capo McCormick.