シャープ株が急落、一時2年5カ月ぶり安値-新中計は「希望的観測」

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シャープ株は15日、一時2年5カ月ぶりの安 値まで売られた。同社は前日、前期(2015年3月期)業績が大幅な純損 失になったと発表し、資本支援や人員削減などを盛り込んだ中期経営計 画を示した。

シャープ株は一時前日比11.5%安の177円と、12年12月以来の安値 を付けた後、7%安の186円で取引を終えた。

発表資料によると、シャープは主力取引行のみずほ銀行と三菱東京 UFJ銀行に合計2000億円分の優先株を発行し、調達した資金で一部債 務を返済すると発表。官民ファンドからも支援を受けると明らかにし た。また、資本金を5億円に減らし、累積損失の処理に充てる。

シャープは12年にも経営が悪化し、銀行に資金繰りを支えてもらっ た経緯がある。このため13年に再成長を目指して3カ年経営計画を策 定。今期はその最終年次に当たるが、前期に赤字転落が見込まれたため 計画の練り直しを迫られた。

UBS証券の桂竜輔アナリストは14日付のリポートで、800億円の 営業利益目標を掲げる16年3月期以降は「構造改革の中身が確定してお らず『未定』としており、時間切れとなった印象」とコメントした。 UBS証券はシャープ株の目標株価を170円から40円に下げた。

不退転の覚悟

高橋興三社長は14日の決算会見で「今回の構造改革をやりきること で、より復活への道筋が見えてくる」と述べた。その上で「私が不退転 の覚悟で先頭に立ち、社員一同中計の達成に取り組む」と表明した。

ミョウジョウ・アセット・マネジメントの菊池真・最高経営責任者 (CEO)は、新中計について、前回の中計や前期の当初の業績予想と 同じく「希望的観測」だと話した。また収益改善の道筋が明らかになっ ておらず、同社株を「普通に考えれば買う理由はまったくない」と述べ た。

新中計では今期は構造改革を継続し、17年3月期の純損益で「黒字 化」を果たすとの見通しを示した。18年3月期も「黒字拡大」とした が、実数では示さなかった。営業利益については18年3月期に1200億円 を見込んでいる。

財務基盤の強化に向けて、銀行のほかにファンドからも支援を受け る。メガバンクや日本政策投資銀行などが出資する企業再生ファンドの ジャパン・インダストリアル・ソリューションズ(JIS)から優先株 で250億円の出資を受け、成長戦略のための投資に充てる予定。優先株 の発行や減資については株主総会で決議する予定だ。

5つのカンパニー

新中計では、液晶や家電のほか太陽電池、半導体、複写機の5事業 を社内カンパニーに再編するとした。高橋社長は会見で、主力の液晶事 業について、社外組織にする計画はないとの考えを示した。テレビ事業 については、今期の下期に黒字化を目指すと述べた。

組織再編とともに国内で3500人規模の希望退職を募り、グローバル でも人員の10%相当を削減する。シャープは現在、連結で4万9096人の 従業員を抱える。本社ビル・土地の売却も計画に盛り込んだ。

経営陣の一部交代にも踏み切った。6月1日付で長谷川祥典常務執 行役員が代表取締役に昇格、大西徹夫副社長は取締役を外れ、技術統括 の水嶋繁光副社長は代表権のない会長に就く。

個人向けの日本株投資アイデア分析サイト「ロンジン」の和泉美治 アナリストは決算前の取材で「シャープは経営責任を明確化すべきだ」 とし、「高橋社長もその責任をはっきりさせる必要がある」と述べた。

同時に発表した決算資料で同社は、今期の営業利益を800億円、売 上高を2兆8000億円と予想した。今期の純損益については「合理的な算 定が困難」として開示を見送った。前期の純損益は2223億円の赤字、営 業損益も481億円の赤字となった。太陽光パネル事業や液晶工場などの 減損処理がかさみ、構造改革費用が収益を圧迫した。

シャープは同資料で、企業の存続に影響する「継続企業の前提に重 要な疑義を生じさせる状況」が存在するものの、資金不足となるリスク を回避し、中計の対応策を実施することで「継続企業の前提に関する注 記」には該当していないと説明した。

--取材協力:油井望奈美、天野高志.

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