7.8兆ドルの米社債市場に波乱も、不安は海外投資家の心変わり

規模7兆8000億ドル(約930兆円)の米社債 市場でこの先起こり得る波乱は、ドル安をきっかけとする海外投資家の 手じまい売りかもしれない。

この1年間のドル急伸を背景に、世界最大の経済国における通貨と 企業信用の両方の価値上昇からリターンを得ようと、国外投資家は米社 債市場に資金を注ぎ込んだ。ウェルズ・ファーゴがまとめたデータによ ると、米社債残高の約35%は今や欧州と中国が保有しており、1999年の 約20%から大きく比率が上昇している。

債券利回りが上昇すると同時にドルの価値が大きく下がった場合、 つまり通貨価値と社債価格の両面で損失を被るとすると、海外投資家が 市場から逃げ出す可能性は非常に高いと、ウェルズ・ファーゴのアナリ スト、ナサニエル・ローゼンバウム、ジョージ・ボリー両氏は11日付の リポートで指摘した。

利回り低下を背景に保険会社や年金基金が米社債市場から手を引 き、海外投資家のプレゼンスが相対的に高まった現在、事態はこれまで より重大なものと受け止められるだろう。ウェルズのデータによると大 手機関が米社債市場に占める比率は54%。投資信託や上場投資信託( ETF)は約11%という。

「利回りが持続的に上昇するのかどうか、上昇するのならいつ起き るのかというのが、海外の買い手にとって最大の不確定要素となってい る」とリポートは指摘。こうした投資家が一斉に売りに回れば、保険会 社や年金基金がどんなに買っても追いつかない可能性があると分析す る。

レジームシフト

社債市場の規模は2007年以降に49%膨張している。連邦公開市場委 員会(FOMC)が利上げの準備を整えようとしているなか、利上げで 何が起きるかを理解する上で誰が何を保有しているか極めて重要にな る。

ニューヨーク連銀のダドリー総裁は12日、2006年以降で初めてとな る米利上げの時期は分からないが、米金融当局が政策金利の引き上げに 踏み切れば、金融市場の動揺につながる「レジームシフト(急激な変 化)」の引き金になるとの見通しを示した。

米経済データが相次いで期待を下回る内容となり、利上げ先送り観 測が広がっている。理論的には債券にとっては好条件のはずだが、問題 はドル安だ。主要10通貨に対するドルの動きを示すブルームバーグ・ド ル・スポット指数によると、ドルは主要通貨に対してこの1カ月 で4.5%下げている。

ドル上昇にからむ欲望

「海外投資家が米社債を買う動機の多くは、ドル上昇の恩恵にあず かりたいという欲望だ」とウェルズのアナリストは解説した。

米金融政策引き締めに伴いドルが上昇し利回りも押し上げられる可 能性はあるものの、米国以外の経済成長の加速でドルが輝きを失うこと も考えられる。こうした動きはすでに13日に見られた。米国債の10年債 利回りはニューヨーク時間午後0時20分の時点で1ベーシスポイント (bp、1bp=0.01%)上昇の2.26%となった一方、ドル指数 は0.9%下げた。

2010年6月から11年12月にかけてドルは7%下落。さほど大きな値 動きではなかったものの、ウェルズのデータによると海外の買い手は米 信用市場でのポジションを減らした。

こうした買い手のセンチメントが今回変わるとすれば、これまでよ りずっと大きな影響を及ぼす可能性がある。

原題:There’s a Tourist Problem in $7.8 Trillion of U.S. Company Bonds(抜粋)

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