有村担当相:移民より女性政策優先を、人口減に「挑戦する保守」

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有村治子女性活躍担当相は、単なる復古主義 ではない、未来に責任を持つ「挑戦する保守」であることを自らの政治 信条としている。担当課題である女性の活躍推進は、日本が直面する生 産年齢人口の減少に伴う労働力不足を補うため、移民政策より優先して 取り組むべきと位置付ける。

8日、都内で行ったブルームバーグのインタビューで語った。労働 力確保を目的とした移民の受け入れに関し、「日本語を話さない、日本 に愛着を持たない人を単に労働力の担い手というだけで受け入れていい のか」と指摘。「移民政策の前にやるべきことがある。パンドラの箱と いう前にやるべきことはあるということで、一生懸命、職務を遂行させ ていただく」と述べ、女性の活躍を推進する必要性を説明した。

今後5年から10年の期間で、政府が女性の社会進出や少子化対策を 成功させることができるかが「これからの日本の趨勢(すうせい)を、 浮沈を決める」と述べた。

国立社会保障・人口問題研究所が2012年に公表した調査による と、60年の推定人口は、10年の国勢調査による1億2806万人から8674万 人に減少。なかでも15歳から64歳の生産年齢人口は8173万人から45.9% 減の4418万人への大幅な減少が見込まれるとされた。

労働経済学を専門とする慶応義塾大学の後藤純一教授は12日の取材 で、安倍政権が移民受け入れより女性の社会進出支援を優先して進めて いることについて、「現実的な対応で、評価できる」と発言。理由とし て、女性は人口の半分を占める規模であることや、移民を受け入れた場 合の社会問題のリスクを挙げる。

保守

保守は「過去に学び、それを現在に生かし、未来につないでいくと いう時間軸を大事にすること」だと述べ、「保守政治家」を自負する有 村氏。昨年9月の閣僚就任後も、靖国神社には同10月と今年4月に行わ れた秋、春の例大祭に合わせて参拝した。

イスラム過激派組織「イスラム国」のような過激思想に触れた移民 が自ら育った国でテロを起こす事件に世界が震撼していると話し、「日 本もそういう世界的なトレンドから無関係ではない状況が露呈した中で は、日本を大事にするからこそ、日本の国柄をより良い形で子供たち孫 たちに伝えたいと思うからこそ、今その価値を守るためにやらなければ いけない改革をやっていかなければいけない」と訴えた。

これまでの女性政策はフェミニズム運動の一環として進められる傾 向にあったと話し、それでは「興味は持っている人は一生懸命頑張る が、興味のない人には響かない」と指摘する。

安倍晋三政権では女性活躍を「成長していくために最も潜在的な可 能性がある部分」と位置付けているとして、「この分野抜きでは持続可 能性は語れないというメーンストリームに持って行ったところに戦略性 がある」と話した。

専業主婦

有村氏は「専業主婦の価値を認め、その声も代弁しようとしてきた 保守政党の自民党が、女性活躍を打ち出したことには新鮮さがある」と も語る。支持者からは「宗旨変えなのか」と言われることもあるという が、「保守とは過去の考え方に固執するという話ではない。社会は常に 変わっていくから、手入れしていくことは大事」と説明する。

ソニー生命保険が2月に実施した調査によると、本当は専業主婦に なりたいと答えた女性は33.4%で、3人に1人が主婦願望を持っている ことが分かっている。有村氏は、こうした女性にも社会進出を促すのか との問いに「あくまで個人の選択と価値観によるもの。国家が強制でき るものではないし、その意図もない」と話した。

安倍内閣

安倍首相は12年の第2次政権発足以降、女性活躍推進を経済政策 「アベノミクス」の柱の1つとして推し進めてきた。今国会で政府は、 企業や自治体に女性登用に関する行動目標の策定を義務付ける「女性活 躍推進法案」の成立を目指している。

同法案は10年間の時限立法で、昨年の衆院解散に伴い一度廃案とな ったが、政府は2月、国会に再提出した。

有村氏は同法案により、女性の活躍をめぐる現状や課題を「見える 化していくこと自体に大きな第一歩の意義がある」と説明。成立時期に ついて、「今国会の後半は安全保障、労働法制でかなり波高しという状 況が予想されている段階だから、その火の粉がかぶらない段階でぜひ審 議させてもらいたい。成立に向けて努力したい」と話した。

女性活躍の推進は「負の社会慈善事業ではない」とも指摘。企業に とっては女性を活用していくことで「多様な市場」に対応する感性を持 ち、ノウハウもためることにつながる、との認識を示した。

有村氏は1970年生まれの44歳。国際基督教大学(ICU)卒業後、 米国留学を経て、日本マクドナルドに入社。01年の参院選挙に自民党か ら立候補し、初当選を果たした。2人の娘の母親で、妊娠した女性が交 通機関などを利用する際に付ける「マタニティーマーク」の制定にも関 わっており、自ら大臣室に飾っている。

父親は元滋賀県議員で、政治家としての矜持(きょうじ)や誇り は、「父の背中を通して垣間見てきた」と話す。自らも政治家を目指し た理由については、「自分は真面目だと思っているから、自分たちの未 来を全然知らない人がいい加減に決めるより、私たちが参加した方がい いじゃない。だって、私たちの未来なんだから」と笑顔で語った。