トヨタ:今期純利益3.5%増の見通し-市場予想は下回る

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トヨタ自動車は今期(2016年3月期)純利益 が前期比3.5%増の見通しを示した。世界販売台数は微減となる計画の 中、原価改善などが寄与する。市場予想は下回った。

8日発表の決算資料によると、今期純利益は2兆2500億円の予想で 過去最高益を連続更新する。ブルームバーグが集計したアナリスト27人 の予想平均は2兆4303億円。売上高は前期比1%増の27兆5000億円、営 業利益が同1.8%増の2兆8000億円の見通しとした。為替前提は対ドル で115円、対ユーロで125円。

トヨタは大幅な商品力向上と原価低減に向けた車づくり改革「 TNGA」を進めている。今期利益見通しでは前期に比べ、原価改善努 力で2650億円、営業面の努力で1600億円のプラス要因となり、為替変動 影響で450億円、諸経費増で2500億円などのマイナス要因を吸収する。

豊田章男社長は決算会見で、今年は持続的成長に向けた歩みを着実 に踏み出すのか、それとも積み重ねてきた努力にもかかわらず元に戻る のか、大きな分岐点になると指摘し、「真価が問われる重要な年を迎え ている」と述べた。最近の工場新設発表や、TNGA導入により、「今 までのフェイズから実践段階に入ったと思っている」と話した。

TNGAでは、新プラットフォーム(車台)を年内にも導入し、20 年ごろに世界販売の約半数で採用する計画。既存工場の有効活用では稼 働率が世界全体で09年の約70%から90%超に向上している。工場の初期 投資は08年比で約40%低減できるめどがつきつつある。

プリウス刷新など控える

大和証券の箱守英治シニアアナリストは、新興国では戦略車IMV シリーズ、日本などではプリウスの刷新を控えているとした上で、「新 モデルは16年3月期の後半の寄与にとどまるが、中期的には業績をけん 引していくと期待できる」と3月30日付リポートで述べていた。

SMBC日興証券の野口正太郎シニアアナリストは持続的成長を担 う新技術や次世代プロジェクト稼働に注目している。4月8日付リポー トでは新興国戦略IMV、次世代プリウスのほか、新技術で高熱効率・ 低燃費エンジン群や新運転支援技術「トヨタ・セーフティ・センス」な どの展開、業務プロセスを革新するTNGAなど、「トヨタの競争力向 上への取り組み、持続的成長の継続に期待したい」と述べていた。

今期のダイハツ工業と日野自動車を含むグループ世界販売計画は小 売りベースで前期比0.2%減の1015万台とした。中国合弁などを除いた 連結ベースでは同0.8%減の890万台の計画で、このうち北米を除き、日 本、欧州、アジアの主要地域で減少する見通し。

前期も最高益更新

前期決算は、1-3月の純利益が前年同期比50%増の4464億円だっ た。ブルームバーグが集計したアナリスト12人の予想平均4906億円は下 回った。年間の純利益は前の期比19%増の2兆1733億円となり、連続で 最高益を更新した。期末配当は1株当たり125円、年間では200円(前の 期165円)に増配する。

トヨタの1-3月のグループ世界販売は前年同期比2.5%減の252万 台となり、追い上げる独フォルクスワーゲン(VW)を上回り、首位の 座を維持していた。トヨタの国内販売は昨年1-3月に消費増税前の駆 け込み需要があった反動で低迷し、世界販売全体に響いた。

トヨタは4月、約3年にわたる新工場凍結を解除してメキシコに工 場を新設し、中国で生産能力を増強すると発表した。メキシコでは19年 に新工場を設立し、年産能力20万台規模とし、小型車「カローラ」を生 産する。中国では17年内に第3ラインを新設して10万台規模で年産能力 を増やす予定。

トヨタは同日、株主還元や資本効率の向上、経営環境に応じた機動 的な資本政策を遂行するため、4000万株、3000億円を上限に自己株取得 を取締役会で決議したと発表した。この上限株数は、自己株を除く発行 株総数に対して1.27%。

国内大手自動車メーカーでは、ホンダが4月28日に決算発表し、品 質問題を抱える中、販売管理費増や為替影響が足かせとなり、今期純利 益で微増の見通しを示した。日産自動車は13日に決算を発表する。

トヨタの株価は8日終値で、前日比0.8%高の8279円、年初来で は9.5%の上昇となっている。