任天堂株が大幅高:今期営業益500億円に倍増へ-スマホアプリ期待

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任天堂株が大幅上昇、一時約4年ぶりの高値 水準となった。同社は7日の決算発表で、スマートデバイス向けアプリ による新たな収益を見込むなど、今期(2016年3月期)の連結営業利益 が前期比倍増の500億円になるとの予想を示した。

任天堂株は一時、前日比7.4%高の2万1200円と11年4月以来の高 値水準となった。午前9時10分現在は5.5%高の2万830円。

ブルームバーグがまとめたアナリスト18人の今期の営業利益予想の 平均は327億円だった。会社は純利益を350億円(市場予想257億円)、 売上高は5700億円(市場予想5314億円)と見込んでいる。前期は純利 益418億円、営業利益248億円で、4期ぶりの営業黒字となった。

任天堂は、自社のゲーム機以外にソフトを提供しない方針を取って いたが、スマホやタブレット端末向けのゲームの普及を受けて3月に撤 回。ディー・エヌ・エー(DeNA)と資本・業務提携し、スマホ向け ゲームを開始すると発表した。人気キャラクター「スーパーマリオ」な どを持つ任天堂の方針転換を市場は好意的に受け止め、株価は提携発表 前に比べ大幅に上昇している。

岩田聡社長は7日の決算会見で、「今期は来期以降に任天堂らしい 収益水準に戻すための一歩を踏む年」だと表明。これまで1000億円規模 の利益を出してきたことに触れ、「その水準でなければ認めてもらえな いだろう」と語った。

エース経済研究所の安田秀樹アナリストは「強い数字との印象」と した上で、既存事業よりもスマホ関連を高く見込んでいると分析。下期 の業績に寄与してくるとの見通しを示した。

保守的予想

岩田社長は、スマホ向けゲーム事業からの収益については明らかに しなかったが、今期予想では「保守的に見ている」という。ゲーム機と ソフトの販売はU本体340万台(前期338万台)、Uソフト2300万本 (同2440万本)、3DS本体760万台(同873万台)、3DSソフト5600 万本(同6274万本)を見込む。

3月の発表によると、任天堂はDeNAと提携し、スマートデバイ ス向けにゲームアプリを開発する。岩田社長によると、サービス開始は 年内の予定。またゲーム専用機やスマホなどの複数の端末に対応する会 員制サービスを今年秋に始める。

任天堂がスマホゲームへの参入を発表する直前の3月17日の終値は 1万4080円だった。発表翌日から株価は急騰し、決算発表前の5月7日 の終値は1万9740円だった。

一方、ゲーム専用機では、全く新しい概念のプラットホームを開発 中だ。プラットホームの開発コード名は「NX」。詳細は来年、発表す る。12年に投入した据置型ゲーム機WiiUは競合機と比べ苦戦してお り、立て直しを急いでいる。

テーマパーク

任天堂は収益多角化に力を入れており、昨年11月にはゲーム連動型 フィギュア(人形)「amiibo(アミーボ)」を発売した。世界合 計出荷数は1050万体で、今後カード型やぬいぐるみ型のアミーボを展開 する。アミーボには近距離無線通信(NFC)機能があり、ゲームのデ ータを保存することが可能だ。

また岩田社長によると、同社が持つ人気キャラクターなどの知的財 産(IP)を積極活用するため、米ユニバーサル・パークス・アンド・ リゾーツとテーマパーク展開について合意した。ユニバーサル側から話 があり、1年ほど協議していたという。場所や時期など具体的内容は明 らかにしなかった。

いちよしアセットマネジメントの秋野充成執行役員は、IPを活用 して新たな収益源を求めないと将来がなくなると指摘。スマホゲームは 収益への上積み材料として期待できるが、「大ヒットしなければ劇的な 収益改善にはならない」との見通しを示した。

--取材協力:黄恂恂.