原子力規制委はリスクを無視している-石橋・神戸大名誉教授

日本の原子力規制当局は、九州での地震のリ スクと自ら設定した規制基準を無視したとの見方を、神戸大学名誉教授 で地震学者の石橋克彦氏が示した。

石橋氏は地震関連の著書や論文で知られ、原子力規制委員会の決定 に対して異議申し立て書を提出している。

同委員会は昨年9月、九州電力の川内原子力発電所の安全性を承 認。年内にも再稼働する可能性がある。2011年の福島第一原発の事故後 に導入された新基準の下で再稼働が承認されたのは初めて。国内の原発 は安全性審査のため少なくとも1年半にわたって稼働が停止されてい る。

石橋氏が警告した地震の危険性は過去に少なくとも2回、現実にな っている。

同氏は1994年の著書「大地動乱の時代-地震学者は警告する」の中 で、建築基準が日本の都市をリスクにさらしていると指摘。翌年に阪 神・淡路大震災が発生し6000人余りが死亡した。

97年には日本の科学誌で発表した論文で、大地震による原発災害を 「原発震災」と名付けた。その約14年後に福島第一原発事故が発生した が、論文の内容は実際に起きたことを分析しているかのようだ。つま り、大地震によって原発が外部電源を喪失し、津波が原発の防御能力を 超える被害をもたらし冷却不能となってメルトダウンに至る、というも のだ。

石橋氏は27日に都内で会見し、見通しが現実となったことについて 「がっくり来ました。だからこそ二度と今後それを繰り返さないよう に、ある意味もう一度自分自身が失望するのはいやなのでやっていま す」と述べた。

同氏は、原子力規制委員会が再稼働承認に向けプレッシャーにさら されており、そのために安全性審査の厳密性が低下していると指摘し た。

原子力規制委員会のウェブサイトに掲載された映像によると、田中 俊一委員長は28日の定例記者会見で「石橋先生には石橋先生のご持論が あるのでしょうが」、当時の委員はそれなりに判断したのだと思うと述 べた。

原題:Japan Earthquake Expert Says Nuclear Watchdog Ignoring Risk(抜粋)