ソニー:今期営業益3200億円と慎重予想-最終益は3年ぶり黒字に

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業績回復を目指すソニーは、今期(2016年3 月期)連結営業利益が3200億円になるとの見通しを発表した。市場予想 を下回る水準で、「保守的」な予想との声もある。スマートフォンやテ レビ事業の不振をイメージセンサーなどデバイス事業が補う形だ。

営業利益が会社予想通りとなれば2008年3月期(3745億円)以来の 水準。前年実績(685億円)比では約5倍となるが、ブルームバーグが 集計したアナリスト8人の予想平均(4016億円)には届かなかった。今 期の純利益は1400億円と、3年ぶりの最終黒字を見込んでいる。売上高 は7兆9000億円の見通し。

ソニーはパソコン事業の売却やスマートフォン事業の減損処理が一 巡したためリストラ費用が減り、デバイスや映画など好調な事業を軸に 業績改善を加速させる見通し。配当は前期に上場来初の無配となった が、今期は10円の中間配当を予定している。

吉田憲一郎最高財務責任者(CFO)は30日の決算会見で、会社の 示した今期営業利益予想が市場予想を大幅に下回った点について、直近 の為替変動が大きかったため「リスクとして織り込んでいる」と説明。 為替の影響は約1500億円のマイナス要因になるとした。その上で「過去 7年で15回の下方修正をした反省から、なるべく下方修正を避けるよう にしている」と話した。

為替リスク

エース経済研究所の安田秀樹アナリストは「投資家の期待が先行 し、会社側は期待を抑えるのに必死になっている」と述べ、営業利益予 想を「保守的だ」と述べた。市場と会社の予想の差異の原因について は、ユーロに対する円高が主因と指摘した。

また、三菱UFJモルガン・スタンレー証券の西村美香アナリスト は決算発表前に、ソニーは「ユーロ建ての売上高が多く、ドル建てコス トも多い」ため、「ドル高ユーロ安はマイナス」に働くと指摘した。ソ ニーの今期の為替前提は1ドル=120円前後、1ユーロ=125円前後。

発表資料によると、今期はモバイルとホームエンタテインメント事 業の売り上げが減少する見通しで、同社は今期のスマホ販売台数を3000 万台(前期実績3910万台)、液晶テレビ販売台数を1150万台(同1460万 台)と予想している。テレビ事業は前期に11年ぶりの黒字化を実現した が、今期は減収減益となる見通し。

安田アナリストはスマホやデジカメ、液晶テレビの販売台数予想が 減ったことについては「採算を重視したため」だとし、「ネガティブで はない」と話した。

ゲーム機は好調が見込まれ、「プレイステーション(PS)4」 は1600万台(前期実績1480万台)と予想。イメージセンサーの売上高 は5500億円(同4500億円)を見込んでおり、関連設備投資として2100億 円を想定している。

トラウマ

SBIアセットマネジメントの運用本部長、木暮康明氏は、今回の 業績予想は最低ラインだとして、「どこまで上げていくかが一番のポイ ント」だと話した。ただスマホとテレビには下振れリスクがあり、これ まで何度も下方修正を繰り返しているため、投資家にも「トラウマがあ る」と述べた。

ソニーの前期(15年3月期)の純損失は1260億円、売上高は8 兆2159億円だった。ゲーム事業や金融事業が貢献。パソコン事業の売 却、テレビ事業の分社化など構造改革も寄与している。ブルームバーグ が入手した資料によれば、モバイル事業でも人員削減のほか本社機能の 移転を計画している。

ソニー株は決算発表前に、前日比1.3%安の3644.5円で取引を終え た。年初来では47.4%の上昇。

--取材協力:天野高志.

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