【クレジット市場】黒田総裁は伝統に回帰か、国債購入には限り

日本銀行は債券購入を拡大する代わりに伝統 的な政策手段である利下げに訴える可能性があると、BNPパリバ・イ ンベストメント・パートナーズ(東京)が指摘した。

日銀が次に一段と金融政策を緩和する時には黒田東彦総裁が債券購 入の増額ではなく、現在0.1%である準備預金の付利の引き下げに動く だろうと、BNPはみている。

向こう1年の見通しについてブルームバーグが調査したところ、同 様の見解を示すエコノミストは34人中数人で少数派。この調査では、過 半数の回答者が10月までには日銀が刺激策を拡大すると予想した。

BNPパリバ・インベストメントの債券責任者の中村成己氏は「年 内に追加緩和があり、それが付利引き下げである可能性は高い」とし、 「購入を増やせばある時点でフェイルの可能性が出てくる。日銀が市場 で国債を買おうとしても、市場には受け渡しのための国債がないかもし れない」と話した。

日銀は昨年10月に国債購入規模を拡大し、マネタリーベースを年80 兆円程度増やす計画を示した。上場投資信託(ETF)と不動産上場投 資信託(REIT)も購入しているほか、以前に購入したコマーシャル ペーパー(CP)と社債も保有している。

これらの措置は他の中央銀行の政策の規模を超えており、黒田総裁 は購入のこれ以上の拡大をためらうのではないかと中村氏は述べた。

一方、クレディ・アグリコル証券の尾形和彦チーフエコノミストは 付利引き下げはマネタリーベース拡大という日銀の目的に反すると指摘 する。日銀は2013年からマネタリーベースを政策の目標にしている。

「日銀の付利引き下げはないだろう。少なくとも、誘導目標をマネ タリーベースに置いている黒田緩和の枠組みでは可能性が低い。付利を 下げるとマネタリーベースが増えにくくなるので、目標と手段の整合性 が取れなくなるからだ。マネタリーベースの本格的な拡大を狙うなら、 付利を下げるべきではない」と同氏は語った。

日銀が重視するインフレ指標である全国消費者物価指数(生鮮食品 を除いたコアCPI)は増税の影響を除くベースで前年比0%に低下し ており、同中銀は2%の目標達成の方法を模索している。

ニッセイ基礎研究所の上野剛志シニアエコノミストは、黒田総裁が 市場を驚かすのではないかと話す。同氏は「日銀は7月に追加緩和する と予想する。黒田体制のこれまでの経緯を考えると、一つだけでなく、 複数のできることを組み合わせてサプライズを演出するのではないか」 と指摘。「小幅のマイナス金利なら成立し得る状況だ。当社はマイナ ス0.1%に下げると予想するが、0.05%やゼロ%ではインパクトに欠 け、マイナス圏まで下げればポジティブ・サプライズになるからだ」と 語った。

原題:Kuroda Seen Using Old-Fashioned Rate Cut as Bond Buying Limited(抜粋)

--取材協力:野沢茂樹.

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