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トヨタ:中長期株主確保にイノベーション-個人投資家に好条件

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トヨタ自動車は技術革新に対応した中長期の 成長を支える株主づくりを目指して、従来にない形で、非上場となる初 の種類株式を発行する。

研究開発が業績に寄与するのと株主が投資する期間がなるべく重な ることが望ましいと判断し、トヨタはおおむね5年後に普通株への転換 や発行価格での買い取り請求が可能な種類株を発行する。普通株と同様 に議決権は付いている。

SBI証券の鈴木英之投資調査部長は、トヨタの種類株は一般的に なじみのない方法で資本調達の多様化がメリットと述べ、「日本のトッ プ企業であるというポジションを考えれば、このような方法があるとい うことを日本、産業界に示している部分で意義がある」と指摘した。

経済産業省は昨夏、持続的成長や競争力を目指す企業と短期的な成 果を求める投資家が、互いの価値を対立的にとらえることなく協調を目 指すべきだという提言を公表していた。

トヨタの28日付資料によると、発行する第1回AA型種類株式の調 達資金は燃料電池車(FCV)開発を含む研究開発費に充てる。6月の 総会後に決まる1株の発行価格は決定日の東京証券取引所での終値 の1.2倍以上として、株数は5000万株が上限。普通株の希薄化を避ける ために同数程度の自己株式を取得する予定。

投資家に好条件

種類株の配当年率は発行年度に0.5%、1年ごとに0.5ポイント上昇 し、おおむね5年で2.5%となる。発行後おおむね5年経過すると普通 株式への転換が可能なほか、発行価格での換金機会が確保される。銀行 定期預金で5年ものの金利は、金利が比較的に高いあおぞら銀行で 年0.35%となっている。

アリアンツ・グローバル・インベスターズ・ジャパンの寺尾和之最 高投資責任者は「株式というより転換社債に仕組みが似ている」と指 摘。配当が得られる上に5年後以降は株価が上がっていれば株式に転換 でき、逆に株価が低迷しても発行価格で換金できるなど投資対象として 条件はいいと話した。安定的な個人投資家を増やしたい会社側と投資家 の間で「ウィンウィン関係が築ける」だろうとも述べた。

一方、香港ミラボー・アジアのトレーディング担当ディレクター、 アンドルー・クラーク氏は、海外投資家には為替リスクがある中で5年 間の保有が妨げになるかもしれないと指摘。円ベースで2.5%の配当が あっても、その間に為替が大きく変動すれば、それに投資しても意味が なくなるかもしれないと話した。

トヨタは東証発表資料で今回発行する種類株の投資家層について、 株式の流動性を重視する機関投資家より国内の個人投資家が中心になる 可能性が高いと考えているとした上で、国内一般募集の予定だが海外投 資家の国内法人の参加は可能としている。

--取材協力:佐野七緒、Craig Trudell、上野英治郎、宮沢祐介.

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