自民・山本氏:日銀は反リフレの「伏魔殿」、総裁は初心に戻れ

自民党の山本幸三衆院議員は、日本銀行の黒 田東彦総裁についてデフレと戦う姿勢が「揺らいでいるのではないかと 心配している」との懸念を表明。物価上昇率2%の目標達成にあらゆる 手段を講じるとの初心に戻り、30日の金融政策決定会合で追加緩和に踏 み切るよう促した。24日のブルームバーグのインタビューで語った。

山本氏は、黒田総裁が政府に財政健全化を促す発言を繰り返してい ることについて「そんなこと言う前に自分の仕事をしっかりやってほし い。順序が逆ではないか」と述べた。物価上昇率2%の目標達成など 「自分の仕事をちゃんと果たさないで他の人のことを言い出す。悪い日 銀の過去の姿が少し垣間見えてきているような気がする」とも指摘し た。

日銀が第2次安倍晋三政権誕生前は物価上昇率の目標設定など山本 氏らが提唱した政策の導入に消極的だったことから、黒田氏が日銀の 「伏魔殿」に「侵されつつあるのかな」と述べた。白川方明前総裁時代 の日銀についてはインフレに対する「過度なまでの懸念」や、金融政策 の「小出し、後出し対応」を取る体質があり、現在も白川時代の「遺伝 子がまだ残っているのではないか」と語った。

山本氏は自民党内でデフレ脱却のために日銀が通貨供給量を増やす よう長年主張してきたリフレ派の代表的論客。安倍首相とは野党時代に 金融政策の勉強会を重ねてきた。昨年秋には自民党有志議員と消費再増 税1年半延期の提言をまとめ、首相が実際に決断した。

物価目標設定を法制化し、日銀が政府や国会に対し、その達成状況 を定期的に説明することを義務付けた日銀法改正案の私案を既に公表し ている。最近の日銀の動向を見て「日銀法改正来年中には仕上げない といけない、といよいよ感じる」と語った。

日銀広報課はブルームバーグの取材に対し、山本氏の指摘について 「コメントすることは差し控えたい」としている。

初心

黒田総裁は2013年3月21日の就任会見で、物価上昇率2%の目標に ついて「達成できるまで可能な限りあらゆる手段を講じていく」と宣 言。翌月の金融政策決定会合で、量的・質的金融緩和を導入し、消費者 物価の前年比上昇率を2%とする「物価安定の目標」を、2年程度の期 間を念頭に置いてできるだけ早期に実現する、との方針を掲げた。

それから2年。2月のコアCPIは前年同月比で2.0%上昇と7カ 月連続で伸びが鈍化。日銀は消費増税の影響を2.0ポイントと試算して おり、これを除くと伸び率はゼロ%になる。3月の消費者物価指数は5 月1日に発表される。

山本氏は物価上昇率2%の目標が達成できていない状況について黒 田氏が「消費税の影響で駄目だったとはっきり言うべきだ」と述べた。 その上で、「初心に戻ってデフレ脱却のために何でもやるという姿勢を 示すと同時に行動で示してほしい」と述べ、追加緩和に踏み切るよう決 断を促した。

出口戦略

黒田総裁は23日午後、参院財政金融委員会での答弁で、金融緩和策 からの出口に関して、金融政策決定会合では議論はまだしていないとす る一方、事務方で技術的な手段を検討していると述べた。

山本氏は出口戦略に関係したこの発言についても「非常に不適切 だ。一切、今は触れては駄目だ」と指摘。昨年4月の消費税率の8%へ の引き上げでデフレ脱却への取り組みは「結果的に見れば後戻しされ た」と述べ、増税の影響を「オーバーライドするぐらいもっとやらなけ ればいけないというのが本来の筋ではないか」と述べた。

--取材協力:上野英治郎、日高正裕、藤岡 徹.

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