コンテンツにスキップする
Subscriber Only

GPIFと3共済:資産構成の目標値共有、運用一元化の10月から

更新日時

年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF )と公務員や教職員らが加入する3つの共済年金は、10月1日からの運 用一元化に向けて共有する資産構成の目標値を発表した。

GPIFと国家公務員共済組合連合会(KKR)、地方公務員共済 組合連合会、日本私立学校振興・共済事業団の3共済が20日にウェブサ イトに掲載した「モデルポートフォリオ」によると、短期資産を含む積 立金全体に対する各資産の目標値は国内債券が35%、内外株式が25%ず つ、外国債券が15%。目標値の上下に設ける「中心値範囲」は、国内債 が上下10%、国内株が同9%、外債が同4%、外国株が同8%とした。

モデルポートフォリオの目標値はGPIFとKKRの資産構成と完 全に一致。中心値範囲もGPIFの乖離(かいり)許容幅と同水準だ。 市場への影響を抑えた円滑な移行や運用の柔軟性確保に加え、GPIF の新資産構成で乖離許容幅の範囲内での「機動的な運用」が塩崎恭久厚 生労働相から認可された経緯がある。

GPIFと3共済をめぐっては、野田佳彦前閣の2012年8月に消費 増税や税・社会保障の一体改革に関連し、被用者年金制度を今年10月か ら一元化する法案が成立。昨年3月末には運用を一元化し、利回り目標 やリスク許容度などを共有すると決まった。公的年金制度は09年度以降 、高齢化で膨張する給付額を保険料や税金などで賄い切れず、GPIF からの拠出金に依存。14年度は約5.5兆円となる見通しだ。

3共済

デフレ脱却を掲げる安倍晋三内閣の有識者会議(座長:伊藤隆敏教 授)は13年11月、GPIFや3共済に経済活性化による将来の金利上昇 で評価損の恐れがある国内債への偏重見直しやリスク資産の拡大による 収益向上を提言した。公的年金の大半を占めるGPIFは昨年10月末の 資産構成の見直しで、今回発表のモデルポートフォリオと同じ水準に変 更。従来は、国内債の目標値が60%、内外株式がそれぞれ12%、外国債 が11%だった。

国内債の割合がGPIFより高い3共済のうち、KKRは2月25日 に資産構成の目標値をGPIFと同水準に変更。それまでは国内債と不 動産・貸付金が計78%、内外株式がそれぞれ8%、外国債が2%だった 。モデルポートフォリオは4基金が共同で策定するが、実際にはGPI Fの資産構成がモデルポートフォリオになるとの見解を示していた。

運用資産が約18.9兆円の地方公務員共済は資産構成比率の目標値が 国内債64%、国内株14%、外国債10%、外国株11%、短期資産1%。13 年12月に国内債の乖離許容幅を上下10%に倍増。国内株と外国債、外国 株はそれぞれ同5%だ。

日本私立学校振興・共済事業団の運用資産は約3.8兆円。昨年11月 末に国内債と貸付金の目標値を計65%から56%に下げ、内外株式と外国 債をそれぞれ10%から13%に引き上げた。短期資産は5%で据え置いた 。国内債の乖離許容幅を上下9%から同15%に、内外株式と外国債は同 3%から同5%に拡大した。

3共済の資産構成をめぐっては国会審議の場で、GPIFがリスク 資産を中心としたのに公務員年金は堅実運用でリスクを避けている、と の指摘が出ていた。KKRが保有する国内債は財政融資資金への預託金 が3分の2超を占め、実際には速やかな残高圧縮が難しい面もある。

保有実勢との乖離

運用資産約7.3兆円のKKRは2月の見直しで、乖離許容幅をGP IFより広く設定した。国内債は従来の上下16%から同30%とGPIF の3倍にした。内外株式は同5%から10%に、外国債は同2%から10% に拡大した。4%だった短期資産は各資産に分散して管理。保有資産の 大規模な入れ替えが必要なため、当面は乖離許容幅を逸脱し得ると説明 した。

厚生年金と国民年金の運用資産137兆円を抱えるGPIFは10-12 月期に国内債を約5.4兆円減らす一方、国内株は約3.5兆円、外国債は約

2.3兆円、外国株は4.3兆円増やした。年金特会の1.1兆円も加えた積立 金全体に占める保有実勢は昨年末に、国内債が43.13%の約59.6兆円、 国内株が19.80%の約27.4兆円、外国債が13.14%の約18.2兆円、外国株 が19.64%の約27.1兆円だった。

GPIFは仮に積立金全体の規模が昨年12月末時点と変わらなけれ ば、国内債は新たな目標値まで満期償還分も含めて約11.2兆円の削減が 必要だ。国内株は価格変化分も込みで約7.2兆円、外国債は為替損益も 含めて約2.6兆円、外国株は約7.4兆円の増加余地がある。

3共済の運用資産は昨年3月末に約30.4兆円。仮に保有実勢をGP IFの目標値に合わせる場合に必要な変更額は国内債が約8.5兆円の圧 縮、国内株が約3.6兆円、外国債が約1.9兆円、外国株が約3.9兆円の積 み増しだ。これに合計約21兆円に及ぶ地方自治体の各種年金も追随する ため、総計約51兆円が国内債削減とリスク資産積み増しに加わる見通し だ。

GPIFと3共済は昨年10-12月期に、国債・財融債を過去最大の 5兆5605億円売り越す一方、日本株は1兆7281億円、海外の債券や株式 の外国証券は過去最大の2兆3907億円買い越した。

日銀の統計によると、国債・財融債と国庫短期証券を合わせた「国 債等」の残高は昨年末に過去最大の1023兆円。うち、公的年金は全体の

5.6%に当たる約57兆円を保有している。3カ月間で約0.5%ポイント、 約5兆円減った。

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中 LEARN MORE