デフレを恐れる世界各国・地域の当局者に、 「中央銀行の中央銀行」と呼ばれる国際決済銀行(BIS)のエコノミ ストからアドバイスがある。それは「心配ない」の一言だ。

金融経済部門責任者クラウディオ・ボリオ氏率いるBISのエコノ ミストは18日付の四半期レビューで、経済成長と物価下落の関連は弱い と結論付けた。政策当局や学界でも議論を呼びそうだ。

それによると、調査対象の38カ国・地域が第2次世界大戦後に経験 した短期的なデフレ期間は合計で100年間余りに相当するが、こうした 期間の成長率は平均3.2%と、それ以外の期間の同2.7%より高かった。

一方、デフレ回避に向けた緩和的な金融政策が先行き金融市場のバ ブルにつながると警告してきたBISは今回、成長率と資産価格下落と の間に一段と強い関連があると指摘。株価と不動産価格がピークに達し た後、成長率は5年間で10ポイント近く押し下げられると分析した。

ボリオ氏らは分析結果について、物品・サービス価格のデフレが常 に有害だとする「支配的な見方に疑問を投げ掛ける」とした上で、「当 局者は資産価格の活況と崩壊という、金融面の循環にこれまでよりも強 い関心を払う必要がありそうだ」としている。

ボリオ氏らによると、デフレは景気低迷を意味するとの想定は、そ れが需要の落ち込みを反映するもので、消費者や企業の節約を促し、さ らなる物価下落をもたらす可能性があるとの考えに基づいている。

「良い」デフレも

しかし、原油安や競争拡大といった供給面の要因で「良い」デフレ が誘発されるケースも考えられ、購買力の強化や輸出市場の競争を高め ることで、生産を促進する可能性もあるという。

現代のデフレ懸念は成長率が平均で通常よりも4ポイント低かっ た1929-38年の大恐慌時代の異例の経験に根差していると、同氏らは説 明する。

また、デフレにより「失われた数十年」に苦しんだとされる日本を めぐっては、1人当たりのベースでは2000-13年に実際は累計10%の経 済成長があったと指摘する。この間の米国の成長率は12%だった。

日銀や欧州中央銀行(ECB)を含む中銀当局者が商品相場安や景 気低迷を背景とした物価下落を阻止しようと金融刺激を強化する中で、 こうしたBISの分析は論争を引き起こす可能性がある。

BISが昨年、資産バブルに対抗するには、政策金利の引き上げは 「余りにも遅く、ゆっくり過ぎる」と論評したのに対し、米連邦準備制 度理事会(FRB)のイエレン議長といった中銀当局者や、ノーベル経 済学賞受賞者のポール・クルーグマン氏を含む学者からは反論の声が上 がった。

原題:The Central Bank of Central Banks Says Keep Calm About Deflation(抜粋)

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