日本銀行が2015年度を中心とする期間に2% の物価目標を実現するためには1ドル=140円の円安が必要--。ブル ームバーグ・ニュースがエコノミストを対象に行った調査でこのような 結果が明らかになった。

円の対ドル相場は量的・質的金融緩和が導入された2013年4月から 2年間で23%下落したが、5日から10日にかけて行った調査(有効回 答28人)によると、2%の物価目標の早期達成のためには、さらに13% の円安が必要との結果(中央値)が出た。

円安は輸出企業の収益増や株高などプラス効果がある一方、輸入コ スト上昇を通じて中小企業や非製造業の収益や家計の実質所得を押し下 げるなど悪影響がある。ブルームバーグ・ニュースは2月12日、関係者 への取材を基に、現時点で一段の追加緩和を行うことは日本経済にとっ てむしろ逆効果との見方が日銀内で浮上している、と報じた。

15年度中心とする期間に2%を達成するには同150円が必要と回答 した3人の中の1人であるニッセイ基礎研究所の矢嶋康次チーフエコノ ミストは「日銀が物価目標を早期達成するには相当な円安が必要だ」と 指摘。実際に「150円になるとは思わないが、もしそうなれば、中小企 業や家計の不満を引き起こす可能性が高い」と述べた。

円相場は10日の東京外為市場で、一時2007年7月以来の同122円台 に下落した。11日午前9時半現在、同121円台前半で推移している。円 相場は日銀が追加緩和に踏み切った昨年10月31日から9.7%下落した。

安定的に推移するのが望ましい

黒田東彦総裁は先月18日の会見で、為替相場について「経済のファ ンダメンタルズに即して安定的に推移するということが望ましいという ことに尽きる」と述べた。

一方、生鮮食品を除くコア消費者物価(CPI)前年比の見通しに ついては「15年度を中心とする期間に2%程度に達する可能性が高い」 との見方を繰り返すとともに、「仮に物価の基調に変化が生じるような ことがあれば、ちゅうちょなく金融政策を調整する」と語った。

明治安田生命保険の小玉祐一チーフエコノミストは15年度を中心と する期間に2%を達成するには、「10円の円安で0.9%ぐらいインフレ が進むので、140円くらいまでいかないと難しい」と指摘。「景気が良 くなって物価が上がるのなら問題ないが、コストプッシュ的に物価目標 を達成しても、消費が減って景気は悪くなるだけなので、日本経済にと っては良くない」と言う。

最も居心地が良いのは105-120円

安倍晋三首相の政策ブレーン、本田悦朗内閣府参与は円相場が 同119円前後で推移していた先月20日、ブルームバーグ・ニュースとの インタビューで、足元の円安が「日本経済にとって心地の良い水準だ」 と指摘。経済の状況を踏まえると、日銀が追加緩和する必要はないとの 見方を示した。

ブルームバーグ・ニュースが今回行った調査では、28人中21人が日 本経済にとって最も居心地の良い円相場の水準として同105円-120円と 回答した。内閣府が3日公表した企業行動に関するアンケート調査(企 業982社が回答)の結果によると、1年後(16年1月ごろ)の予想円相 場は119.5円だった。

--取材協力:氏兼敬子.

最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中 LEARN MORE