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【今週の債券】長期金利に上昇圧力、海外金利高や流動性供給に警戒も

今週の債券市場で長期金利は上昇圧力が掛か りやすいと予想されている。米国など海外市場の金利上昇に加えて、超 長期国債を対象とする流動性供給入札に対する警戒感が背景にある。

長期金利の指標となる新発10年物国債利回りについて、ブルームバ ーグ・ニュースが前週末に市場参加者3人から聞いた今週の予想レンジ は、全体で0.34-0.45%となった。前週は一時0.425%と約2週間ぶり の水準まで上昇したが、30年債入札後には水準を切り下げ、6日には日 銀国債買い入れオペを受けて0.375%まで低下する場面があった。

野村証券の松沢中チーフストラテジストは、「先月と同様にやや弱 い30年債入札を経て、超長期債相場は反発している。だがこれはディー リング勢・業者のリスクテーク能力が著しく低下しているため、入札前 に調整が入り、ショートカバーで修正されることが繰り返されているに 過ぎない」と指摘。「先月はその翌週に行われた流動性供給入札がきっ かけとなり、相場が再度崩れ始めたので注意したい」と言う。

財務省は10日に流動性供給入札を実施する。投資家需要の強い既発 国債を追加発行する入札で、今回の対象銘柄は残存期間15.5年超から39 年未満。発行予定額は3000億円程度となる。

12日には5年利付国債の価格競争入札が行われる。表面利率(クー ポン)は0.1%に据え置かれる見込み。発行額は前回債と同額の2 兆7000億円程度となる。

ECB量的緩和開始

前週末の米国債市場では、2月の米雇用統計が労働市場の順調な回 復を示し、米金融当局が年内の早い段階で利上げに踏み切るとの見方が 強まり、10年債利回りは一時2.2575%と今年最高水準に上昇した。

SMBC日興証券の森田長太郎チーフ金利ストラテジストは、「米 景気に明確な失速材料が出てこない限り、今後1、2カ月のスパンで米 長期金利に明確な低下トレンドが復活してくることはないのではない か。その前提では日本もすぐに10年債の0.3%を目指すというより は、0.3%台後半中心のレンジを想定しながら、金利上昇方向にレンジ がワイド化するリスクも警戒しておく必要がある」と言う。

欧州中央銀行(ECB)は9日から量的金融緩和政策を開始する。 ECBがマイナス金利でも市中の国債を購入する方針を明らかにしたこ とでユーロ参加国の国債利回りは大幅に低下した。しかし、6日に発表 された2月の米雇用統計で、非農業部門雇用者数の伸びが予想を上回る と、ユーロ圏の国債は上げ幅を縮小し、ドイツ債は値下がりした。

野村証の松沢氏は、「ECBの購入姿勢を確認後、先回り買いした 投資家は利益確定に動き出すとみられ、相場の流れが変わるきっかけに なり得る。欧州債金利の低下は、投資家の欧州から他国への資金シフト を通じて、グローバルに金利を押し下げる最大の原動力になってきたと 見られ、その流れが変わることの影響は大きい」と指摘した。

ただ、国内の需給環境は良好で、相場の下落余地は限定的との見方 が出ている。BNPパリバ証券の藤木智久チーフ債券ストラテジスト は、「先週の30年債入札でしっかりとした需要が確認されたことが、バ ックストップとして働く。一定の金利水準では需要が出てくる」と言 う。

市場参加者の今週の先物中心限月と新発10年物国債利回りの予想レ ンジは以下の通り。

◎大和住銀投信投資顧問の奥原健夫シニアファンドマネジャー

先物6月物146円75銭-147円50銭

10年国債利回り=0.37%-0.45%

「米国で金利上昇圧力が掛かりやすく、国内の10年債利回りは横ば いかやや上昇して推移しそう。利上げ期待を反映して米国株がもたつい ても、日本株は需給良好を背景に上値うかがうのではないか。12日の5 年債入札も重し。リスク許容度の回復で大崩れはないにせよ、利回 り0.1%割れの入札では多少テールが流れるリスクがある。長期金利は 2月半ばのピーク0.45%がめどだが、その手前で買い需要がにじみ出て くるとみている。先物限月交代もあって相場の下値余地は限定的だろ う」

◎DIAMアセットマネジメントの山崎信人上席ファンドマネジャー

先物6月物147円10銭-147円70銭

10年国債利回り=0.34%-0.40%

「米雇用統計が過ぎてしまうと、基本的にイベントリスクはなくな る。供給サイドでは10日の流動性供給入札が残存期間が長いゾーンのた め多少意識されるかもしれないが、5年債入札は順調に消化されると考 えている。一方、需要サイドでは20日の大量償還を意識した買いや年度 末を意識した買いが見込まれる。先週末の日銀オペで需給逼迫が確認さ れたこともあり、基調的には金利が低下する方向と考えている」

◎三井住友アセットマネジメントの深代潤債券運用グループヘッド

先物6月物147円10銭-147円80銭

10年国債利回り=0.35%-0.42%

「徐々に相場の下値は固まっていくのではないか。入札で振れるの にはしばらく付き合っていく必要があるが、入札が一通り終了すると大 量償還対応の需要が出てくる。5年債入札については、利回りが付利金 利0.1%を下回る水準では、本質的には投資家の需要が見込めないは ず。入札前に先回り的な買いなどで盛り上がると警戒感が出てくる。た だ、先週の30年債入札のように事前に調整すれば、結果がそれほど良く なくても買われるだろう」

--取材協力:赤間信行、三浦和美、酒井大輔 Editors: 崎浜秀磨, 山 中英典

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