マイケル・キム氏は、MBKパートナーズを 過去10年で北アジア最大の独立系プライベートエクイティ(PE、未公 開株)投資会社に育て上げた。キム氏の優れた交渉能力と、社のトップ としての揺るぎない地位がそれを可能にした。

フルネームのマイケル・ビョンジュ・キムの頭文字にちなんで命名 されたMBKパートナーズは、政府系ファンド(SWF)や年金基金の 支持を得ており、運用資産額は80億ドル(約9600億円)を上回る水準に 達する。中華圏と韓国、日本に投資対象を限定する大手PE投資会社は 同社以外にはない。

ブルームバーグ・マーケッツ誌の最も有望な新興経済国ランキング でトップに選ばれた韓国で、PE業界の台頭を主導したのがキム氏だ。 韓国企画財政省は、韓国銀行(中央銀行)の利下げや46兆ウォン(約5 兆円)規模の刺激策が成長を支援し、国内総生産(GDP)成長率は昨 年の推定3.4%から今年は3.8%に加速すると予測している。ブルームバ ーグ・マーケッツ3月号が報じた。

韓国当局が規制緩和を行い、PE会社のキャピタルゲイン税を実質 ゼロにした2004年12月以降、MBKがPE業界をリードしてきた。韓国 金融監督院(FSS)に登録されたPE会社の数は15から271に急増。 これらPE会社の運用資産額は05年末には4兆7000億ウォンにすぎなか ったが、昨年末時点で49兆ウォンと過去最高を更新した。

キム氏は韓国がアジアで最も企業買収が活発な市場であり続けるだ ろうと述べ、「日本がIBMなら韓国はグーグルだ」と話す。MBKの 投資配分は韓国が最大50%で残りが中国と日本だ。キム氏によれば、中 国は企業買収ではまだ新興国だが、いずれ最も重要な市場になると期待 される。

持続可能な市場

キム氏によると、企業買収の持続可能な市場として成り立つには人 口が5000万人を超え、1人当たりのGDPが3万ドルを上回る必要があ る。この条件を満たす国は韓国も含めてわずか7カ国しかない。国際通 貨基金(IMF)の14年のデータによれば、韓国の人口は5040万人、1 人当たりGDP(購買力平価ベース)は3万5485ドルだ。

キム氏はMBKをスタートさせる前から既に韓国で最も著名な投資 家の1人だった。1990年にハーバード大学経営大学院を卒業した後、ゴ ールドマン・サックス・グループに入社し、企業の合併・買収(M& A)分野で経験を積んだ。95年にはソロモン・スミス・バーニー(3年 後にシティグループに統合)に移籍し、98年に40億ドル相当のソブリン 債発行を手掛けた。さらにカーライル・グループで2005年まで6年にわ たりアジア部門のプレジデントを務め、韓美銀行への4億5000万ドルの 投資を推進した。その後同行はシティに27億ドルで売却された。

1998年当時シティの共同会長を務めていたサンフォード・ワイル氏 はアジアを初めて訪問した際、キム氏と夕食を共にした。

意気投合

韓国と日本の銀行に深く通じたキム氏の博識ぶりに感心したワイル 氏は、ソロモンの若きバンカーだったキム氏に自分と一緒に社用ジェッ ト機で日本に行ってくれるよう頼んだ。機内でワイル氏の隣りに座った キム氏は、矢継ぎ早に飛んでくる質問を上手にさばき、これをきっかけ に2人は親交を深めることになる。「マイケルが成功に値する若者だと 私は常々考えていた。彼は頑張り屋で倫理意識が強く、とても礼儀正し かった」と現在81歳になったワイル氏は振り返る。

キム氏も自分の力だけで成功を収めたわけではないことを認めてい る。鉄鋼メーカー、ポスコの経営に長年携わり韓国の首相も務めた故朴 泰俊(パク・テジュン)氏の娘と結婚したおかげで、多くのチャンスに 恵まれた。ポスコを世界有数の鉄鋼メーカーに育て上げた朴氏は、高度 経済成長期に韓国を率いた朴正煕(パク・チョンヒ)元大統領の側近で もあった。朴元大統領の娘が現在の朴槿恵大統領だ。

原題:Korea’s Michael Kim Leads Buyout Surge as Foreign Firms Return(抜粋)

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