任天堂株価が29日の市場で1年ぶりの大幅下 落となった。同社は前日の決算発表で、今期(2015年3月期)の連結純 利益予想を上方修正する一方で、本業のゲーム機販売不振などから営業 利益予想については半減させた。

任天堂株は寄り付きから売られ、一時、昨年1月以来の日中下落率 となる前日比9.4%安まで下げた。終値は同8.7%安の1万1235円。

純利益予想は300億円(従来200億円)で、ブルームバーグがまとめ たアナリスト20人の予想平均345億円は下回った。営業利益予想は200億 円と、従来予想の400億円から半減。売上高も5500億円(同5900億円) に引き下げた。

任天堂は携帯型ゲーム機「3DS」と据え置き型ゲーム機「Wii (ウィー)U」の導入に苦戦、前期まで3期連続の営業赤字となった。 クリスマスを含む10-12月期は売り上げの大半を占める最大の商戦期 で、任天堂はゲーム機の販売をけん引する人気ソフトを投入していた。

いちよしアセットマネジメントの秋野充成執行役員は、今期の営業 利益予想が下方修正され、市場予想も下回ることを批判。任天堂には熱 心なファンがいるものの「それ以上の成長を期待するのは難しい」と述 べた。

発表資料によると、昨年12月末に為替が円安に振れた結果、為替差 益が510億円発生した。今期末の前提為替レートは対ドルで100円か ら115円、対ユーロで140円から130円に変更した。業績予想の修正に伴 い、1株当たりの年間配当は130円(従来120円)となる。

ブルームバーグの集計データによると、14年10-12月期の純利益 は452億円で、市場予想の340億円を上回った。営業利益は318億円(市 場予想436億円)。

ハードの不振

3DSは、新機種投入のなかった欧米市場で販売数量が伸びず、今 期の3DSのハード、ソフトの販売目標をそれぞれ900万台(従来1200 万台)、6100万本(同6700万本)に引き下げた。岩田聡社長は新機種が 年末商戦に間に合わなかったため買い控えが起こったとし、「影響は想 定より大きかった」と話した。

Uについては、ソフトの今期販売目標を2500万本(従来2000万本) に引き上げた。ただ、ソフトの好調が必ずしもゲーム機販売に結び付い ておらず、ハードについては今期の販売目標を360万台に据え置いた。 任天堂はUの販売数引き上げのため、5月に「マリオカート8」、年末 商戦に「大乱闘スマッシュブラザーズ」(スマブラ)を投入していた。

ライバルのソニーは「プレイステーション(PS)4」の販売を順 調に伸ばしている。発表によると、13年11月に北米で販売を開始して以 来、今年1月4日時点で実売台数が1850万台を超えた。PS4より1年 早く発売されたUの12月末までの累計販売台数は920万台にとどまる。

エース経済研究所の安田秀樹アナリストは「3DSの台数の大幅下 方修正があった。欧米での需要が想定より弱く、在庫が少し積み上がっ た状況だ」とした上で、「任天堂はそろそろ新しいハードを考えないと いけない」と述べた。

収益多角化

こうした中、任天堂は収益多角化に力を入れており、11月にはゲー ム連動型フィギュア(人形)「amiibo(アミーボ)」を発売し た。アミーボには近距離無線通信(NFC)機能があり、ゲームのデー タを保存することが可能だ。岩田社長によると、世界出荷台数は昨年末 時点で570万個に達した。また睡眠と疲労に着目した健康関連事業を米 レスメド社と連携して16年3月期に開始する。

スマートフォンでゲームをする人も増えているが、任天堂は自社の ゲーム機だけにソフトを供給している。岩田社長は、スマートデバイス の活用についてはいろいろ準備をしているとし、今年前半に具体策を明 らかにすると話した。また「ゲーム的な要素が一切ないと言っていた ら、任天堂の強みは生かせない」とも述べたが、詳細については明らか にしなかった。

また任天堂は29日、岩田社長が発熱したため、都内で予定していた アナリスト向け決算説明会を延期した。広報担当の皆川恭広氏によれ ば、インフルエンザの可能性があり、昨年の手術とは無関係という。延 期後の日程は未定。