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ドラギ総裁:「ユーロ圏QE」時代開く-少なくとも148兆円

更新日時

ドラギ総裁は欧州中央銀行(ECB)を新時 代へと導いた。デフレスパイラルを防ぐため、国債を含め少なくとも1 兆1000億ユーロ(約148兆円)の資産を購入するプログラムを22日発表 した。

総裁によると、ECBは月600億ユーロの資産を購入する量的緩和 (QE)プログラムを少なくとも2016年9月末まで実施する。経済に大 量のマネーを注入しインフレ率押し上げを図る思い切った措置を打ち出 した。追加購入分の80%は域内各国の中銀の責任で行われ、損失が生ず れば各国中銀がそれぞれに負担する。QEに批判的な当局者らを説得す るため妥協策が取られた。

ほとんど停滞状態の域内経済を立て直すため、ECBは米当局に遅 れること6年でQEに踏み切った。しかも米当局は3カ月前に国債購入 を終了している。ECBによるQEの効果がドイツからの反発の脅威を 上回るかどうかは賭けだ。

ブラックストーン・グループのスティーブン・シュワルツマン会長 は「ドラギ総裁が取ったこのようなアプローチは、もっとずっと前に採 用されるべきだったとも言える」と述べた上で、「正しいことをするの に遅過ぎるということはない」と付け加えた。

QE発表を受けてユーロは下落。フランクフルト時間午後7時30分 現在、2.1%安の1ユーロ=1.1370ドル。欧州株は上昇した。

バンク・オブ・アメリカ(BOA)メリルリンチのG10外為ストラ テジー責任者のアタナシオス・バンバキディス氏は、ECBの計画は市 場予想の上限の内容だと評価した。

当初案よりペース速い

ECBの政策委員会は、ドラギ総裁が21日提案したよりも速いペー スの購入に同意した。合計額は同日にユーロ圏中銀の当局者が明らかに したのとほぼ同等なものの、1カ月当たりの購入額は100億ユーロ増え 3カ月短い期間で購入することとなった。

政策委での議論について知るユーロ圏中銀当局者が述べたところに よると、ドイツ連邦銀行のバイトマン総裁とラウテンシュレーガー ECB理事がQEに最も強く反対した。オランダとオーストリア、エス トニアの中銀総裁も慎重姿勢を示したという。

数年にわたる危機を通じて欧州の対応の特徴だったコンセンサス重 視を反映し、ドラギ総裁はこうした反対派に譲歩し、ユーロシステム全 体で負うリスクには制限を設けた。

総裁は政策決定後の記者会見で、ECBは「資産担保証券 (ABS)とカバード債を購入する既存のプログラムを抱合する拡張し た資産購入プログラムを開始することを決定した」と言明。16年9月ま で実施するとした上で、「当中銀が目指す2%弱の水準に向けたインフ レ率の持続的な調整が見られるまで、いずれにせよ行う」と含みを残し た。

インフレ率押し上げ

当局者によれば、ECBは購入プログラムがユーロ圏 のインフレ 率を今年0.4ポイント、2016年に0.3ポイント押し上げるとみている。当 局者らは匿名を条件に語った。

ECBは購入した債券の一部を保有するが、購入は各国中銀が行 う。経済運営について各国の責任ある行動につながると期待している。

また、月間の購入額のうち約450億ユーロが国債、50億ユーロが欧 州機関債、100億ユーロが既存のプログラムに基づく資産担保証券 (ABS)とカバード債になる見込 みだと、当局者の1人が述べた。

ドラギ総裁によれば、ECBは購入に上限を設け、その割合は同じ 銘柄の債券については発行規模の25%、同じ発行体によるものは33%と した。また、ECB保有の債券の弁済順位が他の債権者を上回ることは ないという。

さらに「想定し得る損失については、追加購入分の12%を占める欧 州機関債からの損失は共有される。ECBは追加購入資産の8%を保有 するため、合計で20%についてリスクが共有されることになる」と総裁 は説明した。

事実上の債務リスク共有と財政ファイナンスによってECBが競争 力のない国々を救済することになるとのドイツを中心とした懸念を鎮め るため、限定的なリスク共有にとどめた。

「こうした懸念に配慮した。その結果、この決定はそうした懸念を 和らげるものだ」と総裁は語った。

このような配慮は3日後にギリシャ総選挙を控えて特に必要なもの だ。ドラギ総裁はジャンク級(投機的格付け)のギリシャ国債について も、ギリシャが救済に伴う欧州連合(EU)による監視プログラムの下 にとどまっていれば、7月以降に購入できるとの見通しを示した。

総裁は同じ発行体からの債券保有に設けた33%の上限を挙げ、以前 のプログラムで購入したギリシャ債の「大規模な償還があるため、他の 条件が満たされれば、7月にはギリシャ債を購入できると思う」と説明 した。

反対派への妥協の結果、リスク共有に対する慎重姿勢が通貨同盟内 の分断を露呈させQEプログラムの市場へのインパクトを弱めるリスク もあるが、ベレンベルク銀行(ロンドン)のユーロ圏担当シニアエコノ ミスト、クリスチャン・シュルツ氏は「ECBは16年9月以降も購入を 継続する選択肢を残した」とし、「ここ数日で期待は相当高まっていた が、それでもECBはそのほとんどを超えることに成功した」と述べ た。

原題:Draghi Rings in Euro QE Era in $1.3 Trillion Bond-Buy Plan (2)(抜粋) Draghi’s Introductory Remarks at ECB Press Conference: Text(抜 粋)

--取材協力:Alessandro Speciale、Catherine Bosley、Scott Hamilton、Jennifer Ryan、Karl Stagno Navarra、Brian Swint、Angela Cullen.

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