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国債市中発行は来年度152.6兆円、超長期と物価連動増額-中期減

政府が来年度に入札を通じて機関投資家に販 売する国債の市中発行額は152兆6000億円と、2年連続で前年度を下回 る。景気回復と消費増税で税収が増え、新規財源債と借換債、財投債の 発行を減らす。超長期債の増発と中短期債の減額で平均償還年限を延ば し、デフレ脱却を視野に物価連動債を増やす。

麻生太郎財務相が14日の臨時閣議に出した2015年度国債発行計画に よると、国債市場に影響を及ぼす市中発行額は今年度当初計画を2 兆5000億円、9日に閣議決定した補正予算案を1兆9000億円下回る。発 行総額の大幅減でも市場の流動性を確保するため、16年度の借換債を来 年度に前倒し発行し、減額幅を抑制。国債市場特別参加者に対する入札 時の追加発行は900億円少ない4兆3800億円を計上する。

前倒債の発行などによる年度間調整分は3441億円と今年度当初の8 兆3688億円、補正後の2兆5820億円を大幅に下回る。前倒債の発行限度 額は32兆円だ。日銀乗り換えは10兆4000億円と7000億円減らす。個人向 け販売分は2000億円減の2兆3000億円。市中からの買い入れ消却は総額 2兆円程度を上限に実施する。

市中発行の年限別では、30年物を1.6兆円多い年9.6兆円と3年連続 で増やし、40年債も0.4兆円増の2兆円に増額。2年債と5年債はそれ ぞれ30兆円と2.4兆円ずつ減らす。安倍晋三内閣と日本銀行がデフレ脱 却と2%の物価目標を掲げる中、償還までの平均年限を長期化し、将来 の借り換えリスクと中長期的な資金調達コストを抑える。平均償還年限 は9年と前年度より6カ月延びる。

40年債は年5回に

30年債は毎月0.8兆円ずつの発行に変更。今年度は40年債と発行が 重なる月(5、8、11、2月)は0.6兆円ずつ、他の8カ月は0.7兆円ず つだった。40年債は1回当たり0.4兆円の発行額を変えず、回数を4、 6、8、10、2月の5回に増やす。2年債と5年債は月0.2兆円ずつ減 額する。

みずほ証券の末広徹マーケットエコノミストは、来年度発行計画に ついて、「40年債が1回当たり増発されるとの声や30年債は40年債が同 月発行される場合の減額が維持されるとの見方も出ていた。ただ、30年 と40年債を合わせた増発額は事前予想通り。ほかの年限も予想通りで、 トータルで需給は変わらない。市場への影響もないだろう」と話した。

昨年度に発行を再開した10年物価連動債は2.0兆円。昨年10月と同 様、1回当たり今年度当初予算より0.1兆円増やし、0.5兆円ずつ4回発 行する。市場環境や需要動向に応じ、発行額は柔軟に調整する。16年度 後半からは個人向けの新型窓販の取り扱いを開始する予定だ。

物価連動債は消費者物価が上昇すると元本・利払いが増える。財務 省は04年3月に発行を始めたが、市場低迷を受けて08年8月をもってい ったん発行を停止した。厚生労働省は13年末、年金積立金管理運用独立 行政法人(GPIF)が発行規模や市場動向を見ながら、14年度以降に 物価連動債を購入するとの報告を受けたと発表した。

日銀の黒田東彦総裁は2%の物価目標を2年程度で達成するため、 マネタリーベースを積み増す「量的・質的金融緩和」を13年4月に導 入。昨年10月末の追加緩和で、残高増加のペースを年60兆-70兆円から 約80兆円に高めた。資金供給手段である長期国債買い入れオペは月6兆 -8兆円から8兆-12兆円に増額。政府の今年度市中発行額154.5兆円 に対し、年率で最大9割にも及ぶ計算だ。

大和住銀投信投資顧問の奥原健夫シニアファンドマネジャーは、 「30年債がもう少し増えるとみていたが、おおむね予想通りだった。超 長期債が増発されても、日銀の国債買い入れを考えるとネガティブには なりにくい。想定より少なめだったことを踏まえるとポジティブだろ う」と話した。

流動性供給を増額

今回の発行計画では、国債市場の流動性を維持・向上させるため、 投資家の需要が強い既発債を追加発行する流動性供給入札を9.6兆円と 月1000億円増やす。対象銘柄は残存5年から39年まで。国債市場特別参 加者の応札上限を発行予定額の100%から2分の1に引き下げるととも に、最低応札額を3%から4%に引き上げることも決めた。

1年割引短期国債は26.2兆円と年1.3兆円減らすが、国債発行計画 に含まない政府短期証券を新たに発行するため、1年物TBとしての総 額は前年度と同じ1回当たり2.5兆円となる予定。20年債は14.4兆円 (月1.2兆円)、新発債利回りが長期金利の指標となる10年債は28.8兆 円(月2.4兆円)で据え置く。

国債発行総額は前年度当初予算より11兆5147億円少ない170兆241億 円。新規財源債を4兆3870億円減の36兆8630億円と08年度以来の低水準 に抑えたほか、借換債も116兆2986億円と5兆8509億円減らした。新た な借金が歳入全体に占める割合を示す国債依存度は38.3%と8年ぶりの 水準に改善。ピークは09年度の51.5%だった。

財投債は2兆円減の14兆円、東日本大震災からの復旧・復興を目的 とした復興債は7232億円多い2兆8625億円。基礎年金の国庫負担引き上 げ分を一時的に賄ってきた年金特例債は昨年4月実施の消費増税第1弾 に伴い、今年度と同じく取りやめる。

普通国債の発行残高は15年度末に807.1兆円と1年間で約29兆円増 える見通し。国・地方の長期債務残高は1035兆円程度に膨らむ。国債・ 借入金・国庫短期証券を合わせた国の債務残高は昨年9月末に1038.9兆 円。6月末には過去最大の1039.4兆円だった。国際通貨基金(IMF) は政府債務残高の対国内総生産(GDP)比が今年末に245.5%に達 し、少なくとも18年までは世界最悪の座を抜け出せないと予測する。

【当初計画の国債発行額比較】(単位:億円)
                2014年度当初   14年度補正後   15年度当初
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国債総発行額        1,815,388    1,776,613      1,700,241
  新規財源債          412,500      404,929        368,630
 復興債               21,393       10,970         28,625
  財投債              160,000      160,000        140,000
  借換債            1,221,495    1,200,714      1,162,986

市中発行分          1,679,388    1,639,613      1,573,241
  カレンダーベース  1,551,000    1,545,000      1,526,000
  第Ⅱ非価格競争入札   44,700       68,793         43,800
  年度間調整分         83,688      25,820          3,441
個人向け販売(窓販も) 25,000       26,000         23,000
公的部門(日銀乗換)  111,000      111,000        104,000
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年限別国債(市中消化)発行額・回数は次の通り
40年債              2.0兆円          0.4兆円、年5回
30年債              9.6兆円          0.8兆円、年12回
20年債              14.4兆円         1.2兆円、年12回
10年債              28.8兆円         2.4兆円、年12回
5年債              30.0兆円         2.5兆円、年12回
2年債              30.0兆円         2.5兆円、年12回
1年割引短期国債    26.2兆円         2.1兆円、年2回
                   2.2兆円、年10回
10年物価連動債      2.0兆円          0.5兆円、年4回
流動性供給          9.6兆円          0.8兆円、年12回
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計                   152.6兆円

--取材協力:高橋舞子、山中英典.

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