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GPIF:理事長の年棒を6割増の3100万円へ、CIOは3000万円

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世界最大の年金基金、年金積立金管理運用独 立行政法人(GPIF)のトップである理事長の年間報酬額は6割強引 き上げられ、約3100万円になることが分かった。

給与の引き上げは1月の支払い分から反映され、理事長が受け取る 年間報酬額は賞与や手当等を含め、改定前の約1894万円から64%増える 見通しだ。5日付で常勤理事と新設の最高投資責任者(CIO)に就任 した水野弘道氏の受け取り報酬は約3000万円になる。GPIFの森新一 郎企画課長が6日、ブルームバーグ・ニュースの電話取材で明らかにし た。

130兆円超の運用資産を抱えるGPIFはリスク資産の目標値を昨 年10月末に65%に高める方針を示したが、実際の運用には金融に関する 高度な知識や経験を持つ人材が必要だ。政府は給与水準の弾力化など制 約を緩和しており、GPIFは外部コンサルタントの意見も踏まえ、組 織改革や給与体系の見直しを進めてきた。

GPIFの森氏はブルームバーグ・ニュースに対し、理事長の新た な給与水準は日本銀行や日本政策投資銀行など「他の公的金融機関との 整合性を総合的に勘案して決めた」と説明。CIOについては「専門性 が高い人材を確保するため、民間金融機関の動向を考慮しつつ、理事長 を上回らない水準とした」と述べた。

黒田東彦日銀総裁の今年度の役員給与は前年度比1.3%増の3467万 円。全米最大の公的年金基金、カリフォルニア州職員退職年金基金(カ ルパース)のアン・ストースボル最高経営責任者(CEO)は昨年6月 までの1年間で、基本給とボーナスの合計が42万3679ドル(5000万円相 当)だった。

運用専門職の月給は最高145.7万円

水野氏はCIO就任直前まで、英プライベートエクイティ(PE) 投資会社コラー・キャピタルのパートナーだった。GPIFでは新設の 投資委員会の委員長も務める。三谷隆博理事長は先月のインタビューで 、水野氏には「運用部門の統括」を期待していると述べ、「運用の世界 に顔が広い」こともあり、目先は「オルタナティブ(代替)投資の体制 整備に力を尽くしてほしい」と話した。

政府・日銀がデフレ脱却と経済活性化を目指す中、国内債偏重の見 直しやリスク資産の拡大で収益向上を求める圧力に直面したGPIFは 、昨年10月末に資産構成の見直しを発表した。リスク資産の目標値を従 来の合計35%から65%に高めた。実績公表のないインフラ投資やPE、 不動産はオルタナティブ投資と定義し、全体の5%を上限に資金を投じ る。

GPIFが5日にウェブサイトで公表した役職員の新たな給与規程 によると、理事長の月給は1月から諸手当を除き168.6万円、理事(C IO)は同163.2万円となる。森氏によると、1日付の組織改正で高度 な専門知識や経験を持つ人材を確保するため「運用専門職」を新設。諸 手当を除いた月給の最高額は145.7万円となる見通しだ。従来の調査室 は「投資戦略部」に改組した。

「山が動き始めた」

金融分野に特化した人材コンサルティング会社「KANAEアソシ エイツ」の阪部哲也代表は、「山が動き始めた」と述べ、「国際的な水 準や、その責任の重さからするとまだまだ安いが、国民感情も考慮する とギリギリのラインで、報酬体系が改善されたことは一定の評価ができ る」と語った。また、「世界最大級のフィールドで活躍ができ、GPI Fで働くことは名誉でありプライスレスだ」と指摘、業界のトッププレ ーヤーが今後GPIFに移籍する可能性があると述べた。

GPIFの役職員数は昨年10月時点で82人程度と、海外の主要な公 的年金を大幅に下回る。政府の有識者会議(座長:伊藤隆敏教授)は 2013年11月の提言で、専門人材の必要性を指摘。塩崎恭久厚生労働相は 就任前の昨年8月、ブルームバーグ主催のセミナーで講演し、GPIF は「7人の侍」と称されるほど少ない運用の専門家を増やす必要がある と発言した。

厚労省社会保障審議会の年金部会は先月17日の作業班会合で、座長 の植田和男教授と座長代理の伊藤隆敏教授を中心に、GPIFの意思決 定や業務遂行を理事長の独任制から複数理事の合議制に改編すべきだと の意見を取りまとめた。運用見直しとガバナンス改革は「車の両輪」だ と主張している塩崎厚労相は、今月からの通常国会での法改正を目指し ている。

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