民主党代表選に名乗りを上げている細野豪志 元幹事長の国会事務所には故ケネディ元米大統領のポートレートが掲げ られている。1962年のキューバ危機に対応した際の肖像で、細野氏は 「きちっと判断できる胆力を持っているか、逃げずにやり切る体力と気 力を持っているか、自問自答する意味で飾っている」と語る。

29日のブルームバーグ・ニュースのインタビューで話した。細野氏 は1998年に結党した民主党にとって「今が一番厳しい」時期と認識、 「議席数も厳しいが、それ以上に国民から非常に厳しい審判を受けてい る。だからこそ今回、過去と決別して、新しい出発をするべきだ。その ことを一番明確に言っているのは私だ」と党再生への決意を語った。

1月7日告示、18日投開票の代表選をめぐっては、細野氏、岡田克 也代表代行が立候補を表明。共同通信によると、長妻昭元厚労相も26 日、出馬する考えを明らかにしている。同通信が24、25両日に実施した 電話世論調査では、新代表にふさわしい人物として民主党支持層では細 野氏の23.7%がトップで、岡田氏が21.3%だった。全体では岡田氏 が17.0%、細野氏が14.6%。この調査は長妻氏が出馬の意思を表明する 前に行われた。

党再生

細野氏は京都府生まれ、滋賀県育ちの43歳。京都大学法学部を卒業 後、民間シンクタンク勤務を経て、民主党の公募に応募、合格し た。2000年の衆院選に落下傘候補として旧静岡7区から出馬し、28歳で 初当選。03年以降は区割り見直しで静岡5区から連続当選。現在6期 目。与党時代は首相補佐官、原発事故担当相として東京電力福島第一原 子力発電所の事故対応に当たり、12年に野党に転じてからは党幹事長を 務めた。

細野氏は今後の民主党の立て直しについて「弱い野党が協力しても 今の自民党や安倍政権には対抗できない。問われているのは民主党その ものの再生だ」と自主再建の必要性を主張。国民から期待してもらえる 状況ができれば、野党間の協力関係は、自ずと民主党がリーダーとなっ てできる、とも語った。

自らが代表に就任した場合、「代表は比例への重複はしない。そこ は若手や、いま落選しているが頑張っている人に空けておく」と言明。 「総理を経験した人にもそれを求めていく」と続けた。細野氏は今回の 衆院選で比例代表重複を辞退。野田佳彦前首相は千葉4区で当選した が、菅直人元首相は、2回続けて比例復活に甘んじている。

細野氏は消費増税などをめぐる対立から党が分裂した過去を振り返 り、「どんなに良いことを言っても、実際に政治を動かしていく時にバ ラバラになって実現できない。こういう政党文化を払拭(ふっしょく) したい」と語った。議論を尽くした後の決定には従うことの重要性を指 摘し、「従えないことには厳しく対応するということも含めて、そこは やらないといけない」と述べた。

出口戦略

細野氏はアベノミクスのリスクとして、日本銀行が行っている金融 緩和政策を挙げる。

円安が進んだことによるマイナス面や、日銀による国債の大量購入 が財政ファイナンスと捉えられるリスクに言及したうえで、「本当に黒 田バズーカを打ち続けるのが良いのかどうか慎重な検討が必要。そろそ ろ出口戦略も含めて考えながら、ペースを緩やかにしていった方がい い」との考えを示した。

同時に、原油価格が下落していることもあり、13年の量的・質的金 融緩和開始時に想定されていた「2年で2%の物価安定目標」の「達成 は難しい」と見る。原油の下落は国民にとって喜ばしいとしたうえで、 日銀は物価安定目標を「国民のためではなく、自己目的化して、それを 達成すること自体を目的としてはいないか」と疑問を呈した。

企業負担軽減

安倍晋三政権は成長戦略の一環として法人実効税率の引き下げを実 施する考えだ。自民、公明両党は30日決定した与党税制改正大綱で「企 業が収益力を高め、賃上げにより積極的に取り組んでいくよう促してい く必要がある」として、15年度から2年間かけて3.29%引き下げる方針 を盛り込んだ。下げ幅のさらなる上乗せも図るという。

細野氏は法人実効税率引き下げの効果について「一部の東京を中心 とした大企業にかなり限定される」と述べ、むしろ企業の社会保障費の 負担軽減の必要性を訴える。

非正規労働者を正社員として雇用した場合に生じる社会保障費負担 が減れば、「企業側としては正社員を増やすきっかけになる。そうして 年収が増えれば、結婚もできるし、子供を作るということにもなる。そ うすれば当然消費が増える」と語った。

次期通常国会で審議される安保法制については「優先順位を忘れて はいけない」として、「まずは尖閣をはじめとした自衛の問題。次は朝 鮮半島有事にどう対応するかだ」と話した。国連の集団安全保障など国 際協力に関しては、「私は海外での武力行使には慎重な立場だ」と語っ た。

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