農家続けられず毎日職探し-バングラデシュ、海面上昇の脅威

ガウル・モンドルさんは約7年前、自身が所 有する水田で以前ほど多くのコメを栽培することができなくなっている ことに気付いた。バングラデシュの内陸部からインド洋に注ぐパシュー ル川から塩水が浸水しているためだ。

現在では、水田は完全に塩水で満たされコメが栽培できなくなって しまっている。モンドルさんは仕事を探すため毎日数マイルを歩き、他 の村々へ出向かなければならない。年収は半減し3万6000タカ(約5 万6000円)となった。運が良ければ1日約4ドル(約480円)の収入を 得ることができるが、その大部分は4人家族の食費に消えてしまう。

「いつか自宅が押し流されてしまうのではないかと常に心配してい る。河川の浸水により私の家族はいつも脅かされている」。モンドルさ んは、川べりにあるむき出しになった根の周りを水が渦巻くタマリンド の木を指さしながらそう語る。

海面上昇は、1500億ドル規模のバングラデシュ経済にとって向こう 半世紀における最大の脅威の一つとなっており、モンドルさんのような 農家は既にその結果を目の当たりにしている。アジア開発銀行 (ADB)によれば、国民が貧困から抜け出すためにはバングラデシュ は年8%の経済成長を達成する必要があるが、同国が2050年までに受け る年間の経済的損失は国内総生産(GDP)の2%に相当する恐れがあ る。

ADBの地域および持続可能な開発局のアドバイザー、マーフズデ ィン・アーメド氏はマニラからの電話インタビューで「海面上昇と異常 気象が淡水系への塩分侵入を引き起こしている」と指摘。「食糧安全保 障への影響は非常に大きい」と述べた。

原題:Rising Oceans Force Bangladesh Farmers to Look Inland for Jobs(抜粋)

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE