日本郵政:金融2社と同時上場、来年8月にも-1~2兆円規模

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政府全額出資の日本郵政は、金融子会社2社 と同時に来年8月にも株式を新規公開(IPO)する。国内市場の IPOでは上場時の時価総額が8兆円近いNTTドコモに匹敵する規模 になるとの見方が出ている。

財務省幹部は26日、今回の売却規模について、市場で消化できる目 安として3社合わせて1兆-2兆円を念頭に検討するとの考えを明らか にした。同省が国会に提出した試算では、23年まで最大3回の売却で、 収入は各1.3兆円の計4兆円程度と見込んでいた。

日本郵政の発表によれば、上場は日本郵政と傘下のゆうちょ銀行、 かんぽ生命保険と同時を目指す。具体的な株式の売却時期や売り出し数 は未定で、市場を混乱させることなく円滑な消化が可能な規模と記し た。金融2社については、当面は日本郵政の株式保有割合が50%程度に なるまで段階的に売却する方針を示した。

合併・買収(M&A)助言会社GCAサヴィアングループの福谷尚 久パートナーは、上場する日本郵政の時価総額について、「純資産など から単純に考えても8兆円規模には達するだろう。市場が上げ潮で日本 の信用力もある」との見方を示した。

発表によると、政府は日本郵政株の売却資金を東日本大震災の復興 財源に充てる。金融2社の株式売却収入は、日本郵政の企業価値と株式 価値の維持・向上に活用するが、当面は日本郵政の資金需要は足りてい るため、今回の新規上場で得た資金で政府から自社株を買い取り、同様 に復興財源に振り向ける。

発表文では3社の上場時期は「来年度半ば以降」となっているのに 対して、日本郵政の西室泰三社長は記者会見で準備は来年6月までかか り、上場は「8月から12月の可能性がある」と述べた。金融2社株 を50%まで減らす時期は明言しなかった。上場の理由については、政府 の復興財源ねん出に加え、経営の自由度確保を挙げた。

メガと共存、地銀には脅威か

改正郵政民営化法は、日本郵政株式について3分の1超を政府が保 有し、金融2社については全株式の処分を目指し、ともにできる限り早 期に処分すると記している。郵政民営化は、自民党の小泉純一郎政権が 推し進めたが、民主党政権時代に一時、株式売却が凍結されるなど紆余 曲折があった。

ニッセイ基礎研究所の矢嶋康次チーフエコノミストは、ゆうちょ銀 上場の金融機関に与える影響について、メガバンクにとっては「地域の 細かいところをゆうちょ銀に任せたり、投資信託を売ってもらうことも ある」とし、共存は可能だと指摘。一方、地方銀行にとっては、「民営 化が進み貸し出しなど新規業務をゆうちょ銀がやり出すと脅威になる」 との見方を示した。

財務省は10月、日本郵政のIPOに向けて野村証券や米ゴールドマ ン・サックス証券など主幹事証券11社を選定し、来年秋以降の上場を目 指し準備を進めていた。今回の金融2社の株式売却では、主幹事証券会 社を同一とすることで親子企業の同時上場を円滑に進める狙いだ。

日本郵政の決算資料によれば、14年9月期の連結純資産は13兆8095 億円だった。傘下のゆうちょ銀の純資産は10兆6334億円、かんぽ生命は 1兆6908億円となっている。

--取材協力:下土井京子、岩本正明.

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