イエレン議長のインフレ講義:目標順守、原油安の影響解消へ

海外からの物価への一時的な影響を理由に、 米連邦準備制度理事会(FRB)のイエレン議長が金融政策を変更する 可能性はなさそうだ。さらに、過去数年にわたる低インフレを埋め合わ せる方法として、2%の目標を長期にわたって上回るインフレを容認す るつもりも議長にはない。

イエレン議長自身が17日の米連邦公開市場委員会(FOMC)終了 後の記者会見で投資家に説明したのはこういう立場だ。

これらの問題は議長にとって今や極めて重要となっている。過去2 年半にわたって2%を下回って推移しているインフレ率は、今年に入っ て45%にも達する原油安を背景に、向こう数カ月は引き続き目標を割り 込む見通しだ。米金融当局者は成長の重しになる恐れがあるとして、過 度の低インフレの持続を懸念している。

イエレン議長は記者団の質問に対し、自身の見解を解説した。要点 は次の5つだ。

その第1は、インフレ目標はあくまで2%で、長期の平均値ではな く厳格なものだという点。

議長は「2%のインフレ目標を上回ることをFOMCとして想定し ていない点を指摘するのが重要だ」と語り、インフレ率が過去2年半に わたって2%を下回ってきたからといって、目標を上回る物価上昇容認 でその分を補う考えのないことを明確にした。

第2は、市場ベースのインフレ期待の指標は全体像を示すものでは ないというものだ。

米国債とインフレ連動債(TIPS)の利回り格差(ブレークイー ブンレート)では、投資家が9月以降、予想インフレ率を引き下げたこ とを示唆する形となっている。それによれば、2019年のインフレ率見通 しは同月15日時点で2.37%だったのに対し、今月18日には1.96%に鈍化 した。

だがイエレン議長は、インフレ調整指標には予想外の物価上昇に伴 う国債相場下落に備え、投資家が価値保全のために求める保険部分が含 まれており、インフレ期待と混同すべきでないと話す。議長はインフレ 調整指標の下降の動きをどのように解釈するかは「未解決だ」としてい る。

正統派

第3に、イエレン議長はインフレ高進の原因として、教科書通りの 見解を持つ。議長は労働市場の逼迫(ひっぱく)が賃金と物価の上昇を もたらすような局面に経済情勢が進展するのを見極めたい意向だ。

第4点として、イエレン議長は物価の一時的なショックは受け流す 構えで、特に原油のように不安定な商品相場にその原因がある場合、イ ンフレ率を押し上げるものであっても、鈍化させるものであっても重要 視はしない。

最後に、海外のディスインフレの影響が米国に波及することにもイ エレン議長は心配していない。原油相場の下落は「世界的な見通しを形 成している最も重要な展開の1つ」とする議長はむしろ、エネルギーコ ストの低下は「購買力を押し上げる減税」のようなもので、米消費者に は差し引きプラスの効果が見込まれるとする。

議長は「現時点でわれわれはインフレ動向を注視しているものの、 こうした展開は一時的と考えられる」と語った。

原題:Yellen’s Inflation Lessons: Targets Matter, Oil Shocks Dissipate(抜粋)

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