内海元財務官:円安行き過ぎた感あるが、どんどん進むことない

内海孚元財務官は日本銀行の追加緩和後に急 激に進んだ円安について「急過ぎる。行き過ぎたという感じを持ってい る」としながらも、「市場は自動調整する。この調子で来年もどんどん 円安になるとは思わない」との見通しを示した。

内海氏は18日、ブルームバーグ・ニュースとのインタビューで「経 済の実態を反映しない形で円安が進み過ぎるのは問題だ。円安が良いと は限らない。構造的な円安になればエネルギー価格や原材料価格が上昇 しボディーブローのように効いてくる」と指摘。一方で、ドル・円相場 が「一挙に200円を超えて210円、220円となるほど経済のファンダメン タルズ(基礎的諸条件)は簡単に変わらない」とも述べた。

日銀は10月31日、長期国債の保有残高を来年末までに80兆円に拡大 するなどの追加緩和を決定。これを受け、為替相場は1ドル=109円台 から急速に円安になり、今月8日には121円85銭と2007年7月以来の水 準まで進行した。足元では1ドル=118円台で推移している。

円高の要素ない

中長期的には「日本は貿易収支も構造的赤字。金融政策の出口戦略 も想定できない状況にあるが、米国は着実に出口の方に進んでおり、ユ ーロ圏も非常に健全志向なベースがある」とし、「金融政策のすれ違い から見ても円が強くなる要素はない」との見方を示した。

米連邦公開市場委員会(FOMC)は17日、政策金利をゼロ近辺に 「相当な期間」維持するとした従来の文言の代わりに、利上げの時期に ついて「辛抱強くなれる」と変更した。これに対し、内海氏は「経済指 標の動きが強ければ早まるし、弱くなれば遅くなるということに尽き る」と解説。欧州については「デフレよりも実態に比べて金融政策の関 係でユーロが強すぎることへの懸念がある」と語った。

米国の利上げが新興国に与える影響については「中国をはじめ新興 市場がドル建て債務を膨らませている。金利引き締めで資金が還流する ことによるインパクトだけでなく、為替面でドルが強くなることで返済 の負担が大きくなる」としながらも、これらの国は外貨準備を積み上げ ており、以前より抵抗力があるとの見方を示した。

また、内海氏は少子高齢化で労働人口が減り、社会保障の払い手が 減り、貰い手が増える中で巨大な借金を返すためによほどの覚悟をしな ければ国は破産状態に陥ると警告。その上で「日本売りが起こる時には 円安、株安、債券安のトリプル安になり、政策的に打つ手がない」と述 べ、危機感を持って備える必要があると強調した。

内海氏は旧大蔵省で1989年から91年まで2年間財務官を務めた後に 退官。国際金融情報センター理事長や日本格付研究所社長などを歴任 し、今年8月、東海東京フィナンシャル・ホールデイングスが新設した グローバル・アドバイザリー・ボード議長に就任した。

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