三井物CFO:今期業績は達成可能-原油安、世界経済への波及懸念

更新日時

三井物産の最高財務責任者(CFO)を務め る岡田譲治副社長執行役員は17日、ブルームバーグとのインタビューで 鉄鉱石や原油価格が大きく下落する中でも、円安による利益押し上げ効 果もあることなどから、今期(2015年3月期)の連結純利益は期初計画 の3800億円を達成できるとの認識を示した。

鉄鉱石価格の下落については生産量の拡大と操業コストの削減で補 うと説明。急落した原油価格については、平均して3-4カ月遅れて業 績に反映されるとして今期の影響は限定されるという。他商社と比べて 海外での事業比率が高く、円安による利益の押し上げ効果も大きい。 「今の時点ではまだ3800億円は出せる」と述べた。

三井物産は総合商社の中でも資源分野に強みを持ち、豪州などで手 掛ける鉄鉱石や原油、液化天然ガス(LNG)事業は収益の柱。一方、 メタル・ブレティンによると指標となる鉄鉱石のスポット価格は1トン 当たり68ドル台と今年に入り約5割下落。ニューヨーク原油先物相場 は16日に1バレル53ドル台まで下落し、09年5月以来の安値を付けた。

しかし、円安による純利益への影響は商社の中で最も高い。米ドル に対して1円の円安で今期は年間27億円の純利益押し上げ効果があるほ か、豪ドルで15億円、ブラジルレアルで5億円の増益要因となる。同社 は下半期の平均為替レートを1ドル=110円と想定している。ブルーム バーグのデータによると、10月1日から12月19日までの平均は113円75 銭となっている。

岡田CFOは来期の業績見通しについて「原油下落の影響が出てく るが、一方で円安の効果もある」と指摘。鉄鉱石の増産効果や市況にも 左右されるとして「総合的に見て、これから来期の業績をまとめる」と 述べた。さらに、鉄鉱石、原油価格ともに「この辺りが底」との見方を 示したが、価格回復の時期については予測できないと述べた。

市場予想は計画未達

ブルームバーグ・データによると三井物産の今期純利益のアナリス ト予想平均は会社計画を下回る3700億円、来期は3600億円が見込まれ る。4-9月期の純利益実績は2227億円と通期予想に対して59%の進ち ょくだった。

野村証券の成田康浩シニアアナリストは、市況下落による業績への 影響は三井物産が最も大きいと指摘。来期業績について「円安効果で補 える部分も大きいが、これまでの新規投資からの利益の積み上げなどで どの程度相殺できるかに注目している」と述べた。

原油安について岡田CFOは「心配なのはエネルギー産業というよ りも世界経済全体に大きな影響を及ぼす」と指摘。ロシアやマレーシ ア、インドネシアなどで外貨収入の下落による影響を懸念。通貨ルーブ ルの急落にも見舞われたロシアについては貿易関係の強い欧州にも影響 を及ぼすとして、「世界経済の停滞につながる心配もある」と述べた。

モザンビークは有利

マレーシア国営石油ガス会社ペトロナスなど原油安を受けてLNG 事業への投資を見直す企業も相次いでいる。三井物産はモザンビークで 大規模LNGの開発事業を手掛ける方針。岡田CFOは同事業について 探鉱段階から参加した案件であり、権益を取得する場合と比べてコスト 面では相当に有利だと指摘。「現状の原油・ガス価格でも何の問題もな いプロジェクト」と述べた。来年3月までの最終投資決定を目指す。

三井物産は今期から3年の中期経営計画を開始。既存案件の拡張投 資などとは別に、新規投資と株主還元に充てる原資として1兆から1 兆4000億円のフリーキャッシュフロー(純現金収支)を見込む。中計策 定時と比べて資源価格は下落。ただ、11月中旬に足元の為替、鉄鉱石、 原油価格を当てはめて試算したところ、円安効果などもあり3年間合計 のキャッシュフローや純利益は当初想定通りの額が見込めたという。

株主資本利益率(ROE)10-12%の目標も掲げる。目標達成に向 けては「利益を増やすのが本筋。資本を減らすことがまずありきではな い」と述べた。収益力を上げるための資産の入れ替えも前の3年間と比 べて約2割の拡大となる9000億円に近い水準を見込む。

自社株買いの方針については「3年間のキャッシュフローや資産の 入れ替え、投資、全体の純利益を総合的に見て判断する」と説明。株主 還元は「安定的な配当を基本にする」として、自社株買いは機動的に考 えるという。ROEを高めるために借入金を増やしてまで自社株買いを 実施することには、格付けの観点からも否定的な考えを示した。

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE