米中経済、立場逆転の地殻変動-ロシア筆頭に新興市場に混乱

世界経済の2トップ、米中両国に地殻変動が 生じつつあり、金融市場や世界的な資金の流れにも緊張の高まりが一段 と鮮明となっている。米経済が加速する一方で中国経済は減速している ためで、先の金融危機後に見られた傾向は逆転しつつある。

米国の原油供給が増えて中国の需要は減る中で、石油相場は下落。 新興市場からは資金が逃避しブラジル、ロシア、インド、中国の主要新 興4カ国「BRICs」の影響力は後退、ドルは上昇している。

「負け組」の筆頭は資源生産国と新興市場国で、ロシアのプーチン 大統領が最もリスクにさらされている状態だ。ウクライナ問題をめぐる 国際的な制裁の影響は原油安と通貨ルーブル安で一層深刻化しており、 ロシアはリセッション(景気後退)に向かっている。

Gプラス・エコノミクスのチーフエコノミスト、レナ・コミレバ氏 は「われわれが目の当たりにしている世界経済の変動は意図せぬ結果と 予見不可能な緊張の可能性を示している」と分析。「ロシア危機をはじ めとする新興市場の脆弱(ぜいじゃく)さは安全な投資先を求める資金 の流れをさらに促す可能性がある」との見方を示した。

2009年の世界的なリセッションを受けた米国経済の低迷と中国経済 の過熱に対し重ねて懸念を表明してきた世界の政策当局者にとって、米 国が力を増し、中国が勢いを失いつつある現状は、かつて最も望んでい たことだった。

今やその願いはかない、14年の中国経済は1990年以来の低成長が見 込まれるのに対し、ブルームバーグ・ニュースのエコノミスト調査によ れば、15年の米成長率は2.9%と10年ぶりの高い伸びが予想されてい る。

より根本的な原因

コメルツ銀行の為替ストラテジスト、ウルリッヒ・ロイヒトマン氏 (フランクフルト在勤)は「現在の一連の事態のより根本的な原因は、 米金融政策の正常化の見通しだ」とし、米金利の上昇予測を背景にリス ク資産の利回り面の優位が失われつつあると語った。

またジュピター・アセット・マネジメントのジョン・チャットフィ ールドロバーツ氏は「ドル高の当然の帰結は新興市場の弱さだ」とした 上で、ドルが上昇すれば新興市場諸国の自国通貨建て債務残高と利払い 負担は膨らみ、「それはもちろん財政面の痛みを増すことになる」と付 け加えた。

ソシエテ・ジェネラルのエコノミスト、ジェーソン・ドー氏はイン ドネシアとトルコ、メキシコの通貨がこうした変動に対し最も脆弱だと し、南アフリカ共和国、ハンガリー、中国、チリについても注視が必要 だと話している。

原題:U.S.-China Role Reversal Roils Emerging Markets Led by Russia(抜粋)

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