【日本株週間展望】調整一巡し下値堅め、海外不安定には警戒

12月第3週(15-19日)の日本株相場は、下 値を固める展開となりそうだ。短期的な過熱感を要因とする値幅調整は 峠を越えた半面、原油や欧州・新興国株など海外市況の不安定さに警戒 感が残る上、安定政権への期待で好材料視されてきた国内総選挙も通過 し、積極的な買いは手控えられる。

みずほ投信投資顧問の青木隆シニアファンドマネジャーは、「スピ ード調整を挟みながら、材料難で横ばう可能性がある」と予想。短期的 に上値は重いが、「来年前半は業績改善が加速すると想定され、強気相 場は継続している」とみる。

第2週の日経平均株価は週間で3.1%安の1万7371円58銭と3週ぶ りに反落。原油価格や中国、ギリシャをめぐる懸念から世界的な株安の 流れが波及し、輸送用機器など輸出関連、卸売や鉱業など資源関連、証 券株を中心に東証1部33業種中、32業種が下げた。

11日のニューヨーク原油先物は1.6%安の1バレル=59.95ドルと、 終値で2009年7月以来の60ドルを割り込み、年初からの下落率は39%と なった。米国でのシェールオイルの供給増と世界の消費見通し引き下げ を背景に、石油輸出国機構(OPEC)が15年の需要見通しを下方修正 した中、サウジアラビアが減産する理由はないと表明したことなどが売 り材料になった。

飛び火警戒、FOMC声明文も焦点

「原油の問題が局地的なものにとどまるか、拡散するかが大きな懸 念だ」と、マーケットフィールド・アセット・マネジメントのマイケ ル・シャウル最高経営責任者(CEO)は言う。原油急落が「エネルギ ー企業の発行した高利回り債、新興市場のどこかである種の信用問題を 実際に引き起こすかどうか」が焦点と同氏。原油安は、エネルギー株の 下落を通じて最高値圏にある米国株も揺さぶっている。

為替市場では8日に1ドル=121円80銭台を付けた後、11日には一 転して117円台と急速なドル高・円安トレンドが一服している。原油安 や世界的な株安、中国の融資規定の厳格化やギリシャの大統領選前倒し に伴う政治混乱も重なり、質への逃避需要から米10年債利回りに低下圧 力がかかっているためだ。日本株の上昇を支えてきた米国株高、円安と いう投資環境に変化が生じつつある。

16-17日には米国で連邦公開市場委員会(FOMC)が開かれ、経 済予測の公表や連邦準備制度理事会(FRB)のイエレン議長が会見予 定。11月の米雇用統計で非農業部門雇用者数が前月比32万1000人増 と、12年1月以来で最大の伸びとなり、低金利を「相当な期間」維持す るとしたこれまでの声明文の変更有無に市場の注目が集まる。

三菱UFJモルガン・スタンレー証券の鮎貝正弘シニア投資ストラ テジストは、「『相当な期間』という文言が変更されると、その半年後 には利上げされていたという過去の経験則がある」と指摘。過去のケー スでは、文言の変更で米国株は崩れはしないが、上値は抑えられる傾向 があり、「FOMCの結果までは様子見から日本株も上値を買い上げる 感じにはならないだろう」と予想した。

ボラティリティが拡大、上昇継続には期待も

米国では、15日に11月の鉱工業生産や12月のニューヨーク連銀製造 業景況指数、16日は11月の住宅着工件数の発表がある。ブルームバーグ がまとめたエコノミスト予想は、鉱工業生産が前月比0.7%増(前 回0.1%減)、住宅着工件数は前月比2.5%増(同2.8%減)だ。

一方、足元で日本株の変動が大きくなっている。日経平均は8日 に2007年7月以来、およそ7年ぶりに一時1万8000円を回復したもの の、原油や為替、海外株式の変動が響き、10日には下げ幅が400円、下 落率が2.3%と11月17日(517円、3%)以来の大きさとなった。11日に は1万7043円まで下げ、直近高値からの調整幅は5.5%に達した。

米金融政策の見極めや国内材料の不足から上値は重くなる可能性が 高い半面、世界経済や日本株の上昇トレンドが大きく変化したと受け止 める向きは今のところ少数派だ。野村証券の松浦寿雄シニアストラテジ ストは、直近の日本株下落は「本質的にはスピード調整という性格が強 かった」と分析。10、11日と日経平均が下げた中でも小型株のマザーズ 指数は上昇しており、「必ずしも全面安でもない」点がそうした側面を 表しているとみる。

チャート分析からも、日経平均は足元の水準から下値抵抗力が出て くるとの見方がある。10月31日と11月4日の間に形成した窓(空白)の 上限は1万6720円、この水準を下回ると「日本銀行の追加金融緩和や円 安などによるマーケット環境の好転材料を否定することになる」と話す のは三菱モルガンの鮎貝氏だ。しかし、続落した11日も1万7000円を維 持し、当面の値幅調整は一巡した公算が大きい。

IPOラッシュ続く

国内では、15日に日銀の企業短期経済観測調査(短観、12月調査) が公表される。エコノミストの事前予想で、大企業製造業DIはプラ ス13と9月調査(プラス13)から横ばいの見込み。予想通り変化に乏し い内容なら、相場に影響を及ぼす可能性は低そうだ。18-19日は、日銀 が金融政策決定会合を開く。

新規株式公開(IPO)ラッシュも続く。16日は「磯丸水産」など を展開する外食のSFPダイニングを含む4社、17日はアサイーと関連 食品を輸入・販売するフルッタフルッタなど3社、18日はモバイルオン ラインゲームのgumiなど3社、19日は浄水場・下水処理場プラント を設計、施工するメタウォーターなど2社が上場予定だ。

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