飛行機が怖い、プロゴルファーの苦悩-35億人フライト時代に

ドイツ人プロゴルファーのフロリア ン・フリッツ氏は、ドイツから空路でアフリカ東部のナイロビに向かっ ていれば、2010年の「ケニア・オープン」に出場できていたかもしれな い。しかし、フリッツ氏はドイツにとどまった。飛行機に乗るのが怖か ったからだ。

フリッツ氏(29)はかなり消耗し、飛行機に乗るのを避けるために 病気のふりをするようになった。1年間に20数件のイベントのうち5件 を欠席し、ついに全てのツアーへの参加を断念。プロの資格を維持する ために最低限のプレーをしながら地元のゴルフクラブでアマチュアの指 導をして過ごした。

「フライトの日には、死刑囚の列に並んでいるような気持ちだ。空 港への道のりや空港での待ち時間、飛行中と、誰かが私の頭に銃口を当 て、ロシアンルーレットをしているような気がする。引き金が何度も引 かれ、私はただ銃声が鳴るのを待つだけだ」と、フリッツ氏は語る。

フリッツ氏のような顧客を獲得しようと思えば、何らかの行動を起 こす必要があることを航空会社は認識している。英格安航空会社イージ ージェットは今週、このような需要の拡大に対応し、恐怖心のある旅行 者を対象とする講座を増やすと発表。英国のブリティッシュ・エアウェ イズ(BA)も12年にニューヨークで開いたセミナーを翌年にはドバイ でも開催。今年はヨハネスブルクで開いたほか、来年はダブリンでも予 定している。

エールフランスによれば、セミナーの需要は増えている。航空物理 学の実用的知識のほか、心理面のディスカッション、ストレス軽減のた めリラックスするこつなどを学ぶセミナーの費用は数百ユーロかかる場 合もある。

日常生活のストレス

エールフランスのストレス対策センターの心理学者、フィリップ・ ギュリー氏は「これらの講座への需要が高まっているのは、日常生活の ストレスが強くなっていることを反映している」と指摘。「パフォーマ ンスを上げなければならないというプレッシャーに常にさらされ、精神 分析医の診察を受ける人が増えている。飛行機に乗っていると、これら の不安の多くが顕在化する可能性がある」と述べた。

来年には35億人を超える人々が飛行機を利用すると予想され、仕事 やレジャーでのフライトは日常茶飯事となりそうだ。まれに惨事が発生 しても大半の旅行者は恐怖を感じることはない。ただ、かなりの少数派 は、空中で金属製の細い筒の中にとどまることは休暇を台無しにし、キ ャリアの妨げとなる可能性があると受け止めている。

フリッツ氏の場合、心理療法や催眠療法、飛行への不安を和らげる 講座を3年間にわたって受講したが、完治することはなかった。飛行機 に乗るのは依然として怖い。そして、米国でのメジャー大会に出場する ためにどうすれば会場にたどり着けるか分かっている。

「豪華客船クイーンエリザベスに乗れば英国のポーツマスからニュ ーヨークまで4日で行けると思う」と、フリッツ氏は述べた。

原題:Fear-of-Flying Grows as 3.5 Billion Take the Plane: Globetrotter(抜粋)

--取材協力:Richard Weiss.

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