光より速い債券取引、規則は98年から変わらず-取締官不在

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ウォール街が米国債を取引する方法 について監督当局が最後に真剣な見直しを行ったのは、グーグルが会社 として産声を上げたばかりの1998年だった。

その後の目覚ましい技術の進歩が債券市場を変貌させる中で、監督 当局は置いてきぼりを食った。特に電子取引で「スプーフィング(見せ 玉)」と呼ばれる手法については、米国債の現物市場を対象に取り締ま る必要があるとマーケットメーカー(値付け業者)大手3社の幹部が指 摘する。売買すると見せかけて利益を上げるスプーフィングは既に、先 物市場で相場操作疑惑の焦点になっている。

当初86年に法制化されたものの、98年から15年以上にわたり事実上 変わっていない現行規則の下では、コンピューターを使った高速取引会 社がテクノロジーにそれほど強くないライバルを出し抜くことが可能 だ。一部の幹部は実際、高速取引会社が価格を操作していると指摘。全 体を網羅する規制と高頻度トレーダーを監視する技術の欠如が、米国債 市場を誰にとっても一段と危険な場所にしていると論じている。

「一般の市場参加者どころか、当局に対しても透明性に欠けるとい うのが最大の懸念材料だ」と、グリニッチ・アソシエーツの市場構造・ 調査担当責任者、ケビン・マクパートランド氏は語る。

マーケットメーカー3社の幹部は匿名を条件に、米国債の現物債市 場でのスプーフィング疑惑についてどこに訴えてよいか分からないと述 べた。12兆3000億ドル(約1461兆円)規模の同市場には、違法行為か検 証する能力や権威を持った当局がない。

スプーフィングは売買注文を出し直ちにそれを取り消すことで利益 を上げようとする行為。見せかけの注文で相場が動いたところで同注文 とは別の価格で売買し、利益を上げる。「プル・アンド・ヒット」と呼 ばれることもある。

シカゴのトレーディング会社、HTGキャピタル・パートナーズは こうした行為で高頻度取引会社オルストン・トレーディングから先物市 場で被害を受けたとしてCMEグループに調停を求めたと、事情に詳し い関係者が述べている。オルストンの広報担当者はコメントを控えた。

あるマーケットメーカーの幹部は現物債市場に見られるこれとほぼ 同様の取引パターンの証拠を米商品先物取引委員会(CFTC)に提出 したと、関係者の1人が述べている。記録によれば、取引はシカゴとニ ュージャージーで並行して行われており、光より速い情報の流れのおか げでこれが可能になるのだという。

原題:Light-Speed Treasury Trading Governed by Rules Dating to 1998(抜粋)

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