原油安には頼れない、ゼロ金利が成長への「潤滑油効果」を遮断

原油価格の下落はかつてのように世 界経済の潤滑油にはならず、国際通貨基金(IMF)のラガルド専務理 事の期待には応えられそうもない。

最近の歴史さえ、ロンドンのヘッジファンド、SLJマクロ・パー トナーズのファーティ・イルマツ氏らあまのじゃくな見方の肩を持つ。 またエネルギー効率の向上と、すでにゼロ水準にある金利のために、北 海ブレント原油が今年に入り37%急落したことから波及するはずの効果 は弱まると考えられる。

イルマツ氏は4日付のリポートで、「世界の国内総生産(GDP) に原油安が与える影響について、統計に基づいた説得力のある論理を展 開するのは困難だ」と指摘した。

同氏の分析によると、1970年から2000年にかけて原油価格の20%下 落はたいてい、次の1年8カ月の世界GDPを0.25ポイント押し上げ た。しかし2000年以降にこの関係は崩れ、原油安は直近のGDPにまず マイナスに作用し、1年経過してプラスに転じた後、影響は薄れること が分かったという。

ラガルド専務理事の予想はこれと正反対だ。同専務理事は原油価格 の30%低下が先進国の経済を0.8ポイント押し上げると見ている。JP モルガン・チェースも同様に、世界の経済成長は2四半期にわたっ て0.7ポイント押し上げられると予想。ソシエテ・ジェネラルは1年後 の経済効果を0.3ポイントと推計している。

ゼロ金利政策

かつて原油安と経済成長の加速を結びつけていた「経路の一部が」 今は遮断されているため、こうした見方は原油安の効果を過大評価して いるかもしれないと指摘するのは、HSBCホールディングのチーフエ コノミスト、スティーブン・キング氏だ。

同氏によれば、1980年代と90年代、原油価格の低下はしばしば、連 邦公開市場委員会(FOMC)による利下げにつながった。しかし米政 策金利が事実上のゼロに近い現在、もはや利下げの余地はない。また当 局が資産購入を再開するとすれば、景気にかなりの弱さが明らかになら なくてはならないという。

「利下げの可能性がなくなった現状では、原油価格の下落は残念な がら、すでに広がっているデフレ懸念を増幅させかねない」とキング氏 は指摘する。

またシェールエネルギーのブームで現在の米国は産油国としての役 割を高めているため、原油安はかつてのような明確な朗報ではなくなっ た。

キング氏は「原油価格は常に世界の経済活動を活発にするものだと 考えたい気持ちは分かる」と述べ、「現実はもっと複雑だ」と述べた。

原題:Don’t Count on Oil Decline Greasing Growth as Much as Previously(抜粋)

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