米国債:5年債と30年債の利回り差が縮小、原油安で

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米国債市場では5年債と30年債の利 回り差が過去6年弱で最小になった。原油相場の下落や当局の目標を下 回るインフレ率を背景に、長期債の相対的な魅力が高まった。

原油相場が5年ぶり安値を付けたため、世界的に経済成長が停滞し ているとの懸念が強まり、30年債を中心に上昇した。前週末は11月の米 雇用者数の伸びが予想を上回り、国債相場は下落していた。今週は総 額590億ドル相当の中長期債の入札が実施される。

三菱UFJ証券USAのシニア米国債トレーダー、トーマス・ロス 氏(ニューヨーク在勤)は「金融政策と原油安が基になっている。それ らは結びついている」と指摘した。

ニューヨーク時間午後5時現在、5年債と30年債の利回り差は1.23 ポイントと、2009年1月以来で最小となっている。

ブルームバーグ・ボンド・トレーダーによれば、30年債利回りは前 営業日比6ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下の2.91%。 ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のウェスト・テキサス・インタ ーミディエート(WTI)先物1月限は前週末比2.79ドル(4.24%)安 の1バレル=63.05ドルで終了した。

金融危機後に世界の規制当局が実施した規制で金融機関は質の高い 資産を保有し、リスクの伴う活動を縮小しているため、米銀が保有する 米国債残高は過去最高の2兆ドルとなっている。

ロックハート総裁

アトランタ連銀のロックハート総裁は、米金融当局は利上げの開始 を待つべきだと指摘。政策を反転させれば、当局の信頼性を損なうこと になるためだと説明した。

ロックハート総裁は8日、アトランタでの講演で、初回利上げのタ イミングを図る上での「根気強さ」や、さらなる行動に関する「慎重な バイアスが政策への賢明なアプローチだ」と発言。「来年半ばあるいは 後半の利上げを予想する」と述べた。次回の連邦公開市場委員会( FOMC)は今月16-17日。

米10年債の独10年債に対する上乗せ利回りは一時1.58ポイント と、1999年以降で最大となった。

CIBCワールド・マーケッツのマネジングディレクター兼米国債 トレーディング責任者、トーマス・トゥッチ氏(ニューヨーク在勤)は 「利回り曲線のフラット化が続いている一因は、欧州市場での買いだ。 それは短期債よりも長期債の方に強く影響しているようだ」と述べた。

インフレ期待

トレーダーのインフレ期待を示す10年債とインフレ連動国債 (TIPS)10年物の利回り差(ブレーク・イーブン・レート) は、172bpと過去3年余りで最小。

ED&Fマン・キャピタル・マーケッツの債券金利責任者、トーマ ス・ディガロマ氏は「インフレ懸念がないため、どのような債券投資も リターンの実質レートは高く、特に米国債はそうだ」と指摘。「ブレー ク・イーブン・レートが非常に低いことが、当局が金利を据え置くとみ られる理由だ」と語った。

FOMCがインフレ目標の基準としている個人消費支出(PCE) 総合価格指数は10月に前年比で1.4%上昇した。2012年3月以降、 FOMCの目標である2%を下回り続けている。

米財務省は9日に3年債(規模250億ドル)、10日に10年債(210億 ドル)、11日に30年債(130億ドル)の入札を実施する。

原題:Treasury Yield Curve Narrows to Least Since 2009 as Oil Decline(抜粋)

--取材協力:Anchalee Worrachate.

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