弁護士会が「女性社外取締役」候補リスト、上場企業に売り込み

弁護士会が企業に社外役員の「女性 候補者名簿」を売り込もうとしている。女性の活用を掲げる安部晋三政 権の下で金融庁などが策定を進める新たな企業統治(コーポレートガバ ナンス)指針に「2人以上の独立社外取締役の選任」が盛り込まれる見 通しとなり、需要が増えるとみているからだ。

第二東京弁護士会の小林哲也弁護士によると現在、登録期間や所属 事務所の詳細、得意な法律分野などを一覧できるリストを作成中。社外 取締役、監査役候補を探している企業の求めに応じ、来年6月の株主総 会シーズンでの選任を視野に12月下旬から順次、無償提供する計画。女 性弁護士の社会的なプレゼンス向上にもつながると考えている。

安倍政権は企業経営の透明性を高めて海外投資家を呼び込むため、 社外取締役の活用など盛り込んだ指針の策定を打ち出した。弁護士は経 営上の法律的なリスクの芽を摘む役割などを期待されている。特に独立 社外取締役は、第三者的な観点で企業経営に助言する必要があり、就任 先企業との関係に厳しい制限もあるため弁護士への依頼も多い。

ブルームバーグ・データによるとTOPIX採用企業の社外取締役 採用比率は14%。米S&P500採用企業は87%で日本の低さが際立つ。 1人以上の女性取締役はTOPIX企業の9.8%に対し、米S&P500企 業では93%。東証によると、2012年時点の上場会社の社外取締役のうち 委員会設置会社で8.4%、監査役設置会社で8.1%を弁護士が占めた。

5000人規模の特需

同弁護士会の市毛由美子弁護士はこれまでの傾向として「元検事、 元裁判官などの経験や知名度がある男性弁護士に社外取締役の依頼が集 中してきた」と指摘。安倍首相が全上場企業に女性役員を1人を採用す るよう要請していることもあり、同弁護士会では名簿を女性候補に絞れ ば、企業側の需要も満たしやすいとみている。

大和総研では、新指針の導入により最大4786人の独立的な立場の社 外取締役「特需」が発生すると見込んでいる。11月25日の有識者会議の 議論でも需要を満たせるか人材不足を懸念する声が出ていた。経団連の 阿部泰久常務理事は「特に新興企業や地方の企業にとって、適任者探し は困難を伴うだろう」と指摘している。

小林弁護士は「弁護士は企業とのしがらみが相対的に少なく、独立 取締役候補として有力だ」と説明する。ただ、会社役員育成機構のニコ ラス・ベネシュ代表理事は「弁護士が最善とは限らない。彼らが事業や 金融に明るくないことはよくある。社外取締役としての実際の仕事が法 律とは無関係なことが少なくない」と指摘する。

第二東京弁護士会には会員全体の2割に当たる約970人の女性弁護 士がいる。弁護士登録5年以上など一定の条件を満たす女性会員向け に、名簿への参加を呼び掛けている。小林弁護士らによると、同弁護士 会以外にも東京弁護士会、東京第一弁護士会、大阪弁護士会が名簿作り を始めている。

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