投票日前の円安進行は限定的か、政府要人が批判恐れてけん制との声

1ドル=120円を大幅に超える円安 進行は14日投開票の衆院選挙の結果が判明するまで待つ必要がありそう だ。政府から円安の加速をけん制する発言が続くとみられるためだ。

円相場は3日、対ドルで119円87銭と2007年7月以来の安値を付け 日本銀行が10月末に市場予想外の追加緩和を発表する直前の109円台か ら1カ月余りで10円以上も円安が進んだ。麻生太郎財務相は11月21日の 閣議後の記者会見で、円の下落が速過ぎるとの認識を示した。

安倍晋三首相は自身が進めてきた円安是正策を含むアベノミクスの 継続の是非を問うため、先月21日に衆院を解散した。第2次安倍内閣が 発足してからの2年間で円は、対ドルで30%近く下落している。ブルー ムバーグの購買力平価分析によると、消費者物価ベースの円の購買力平 価はドルに対して35%割安となっている。共同通信が11月28、29両日に 実施した世論調査では、内閣支持率が43.6%だったのに対して、不支持 率は47.3%だった。

野村証券の池田雄之輔チーフ為替ストラテジストは2日の電話イン タビューで、選挙期間中に円安が一段と進めば、「野党が円安政策によ って国民生活が圧迫されているという批判のトーンを高める材料を与え ることになる。それを避けたいということはあり得る」と指摘。「120 円ということになってくると、スピードを調整しにいく可能性はある」 と語った。

ドル・円は午前8時21分現在、119円83銭で推移している。

警戒中

ボラティリティ(変動率)が選挙結果を前に高まる中、投資家は円 高の可能性に備えている。ブルームバーグのドル・円リスクリバーサ ル25%デルタのデータによれば、期間が向こう1週間では円買い・ドル 売りを行使できるオプション取引のプレミアムが、反対取引のそれを上 回っている。期間1カ月はその逆だ。また、インプライド・ボラティリ ティ(予想変動率)は、相場の変動が向こう6カ月よりも目先の1週間 の方が大きいと市場が見込んでいることを示唆している。

自民党の谷垣禎一幹事長は先週のインタビューで、円安が進行して いることについては「あんまり急激に動いていくということは望ましい ことではないので、やっぱり安定した水準というものはおのずからあ る」と述べ、輸入価格上昇などが地方経済に悪影響を与えるとの考えを 示した。

円安は日本経済全体にプラスの効果が大きいとの見解を繰り返して いる日本銀行の黒田東彦総裁も先週の名古屋市内での会見で、「輸入コ ストの上昇、その価格転嫁を通じて、中小企業や 非製造業の収益、あ るいは家計の実質所得に対する押し下げ圧力として作用する面もあるこ とも事実だ」と述べている。

日銀は10月31日に市場の予想に反して追加緩和に踏み切り、長期国 債の買い入れを増額すると発表した。円はドルに対して、追加緩和発表 直前の同月30日に比べ10%近く下落している。

ブルームバーグが市場関係者から集計した為替レート予想調査(中 央値)によれば、来年末の円はドルに対して123円と見込まれている。

「ドル高・円安の流れは変わらない。けん制あるなしもそうだが、 選挙結果を見るまではあまり大きなポジションは取りにくいと思う」と 野村証の池田氏は言う。

--取材協力:崎浜秀磨.

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