ムーディーズ:日本国債を「A1」に格下げ-財政に不確実性

更新日時

米格付け会社ムーディーズ・インベ スターズ・サービスは1日、日本の政府債務格付けを「Aa3」から1 段階引き下げ「A1」とすると発表した。見通しは「安定的」。

同社は発表資料で、格下げの理由として「財政目標の達成と債務抑 制に関する不確実性の高まり」、「経済成長に向けた政策の不確実性お よびデフレ終息に向けての課題」、「政策の有効性および信頼性の低下 が債務負担能力を低下させる可能性」を挙げた。

格下げの発表直後、ドル・円相場は一時、1ドル=119円14銭を付 けた。10年物国債利回りは0.5ベーシスポイント(bp)上昇し0.43% となった。2日はそれぞれ118円台半ば、0.4%台前半で推移している。

A1の格付けはバミューダ、イスラエル、オマーン、チェコと同格 で、中国や韓国の格付けAa3を下回る。

安倍晋三首相は2015年10月に予定されていた消費税率の10%への引 き上げを1年半先送り、自らの経済政策「アベノミクス」を争点に据え て衆院を解散した。総選挙は2日公示、14日投票の日程で行われる。

格付けを安定的とした根拠については「厚みのある国内債券市場、 外生的ショックへの脆弱(ぜいじゃく)性の低さ」などを挙げ、「日本 政府がどのような課題に直面している状況であれ、日本は極めて高い信 用力を維持している」としている。

ムーディーズは日本の経済力を「強い」とし、イベント・リスクに 対する感応性は「低い」との見方を示した。安定的との見通しに関連し て、ネガティブな格付けにつながり得るリスクとして「財政目標達成に 向けての軌道を大きく外れた場合」、「経常黒字が恒常的な赤字に転じ た場合」などを挙げた。

世耕弘成官房副長官は2日午前の会見で、格下げについて「コメン トすることは差し控えたい」としながらも、今後の経済財政運営につい て「成長戦略を着実に実施しながら、財政健全化目標の達成に向けて引 き続き最大限努力をしていきたい」と語った。

世耕氏は、安倍首相が景気条項を外して1年半後に消費増税を実施 する方針を示したことに関連し、「経済成長と財政再建を車の両輪とし てやっていくという覚悟を総理が示したことについては、マーケットの 中では評価する声もたくさんある」と指摘した。

三井住友信託銀行の瀬良礼子マーケットストラテジストは、ムーデ ィーズの格下げで日本政府に対する財政再建圧力が強まるとみている。 今後、株価下落と円高が同時に起きた場合、政府が景気対策や追加金融 緩和などを検討する可能性があることに懸念を示した。

クレディ・アグリコル証券の尾形和彦チーフエコノミストはムーデ ィーズの格下げについて、日本の財政状況がひどいことを有権者に思い 出させる上で有意義とし、格下げは安倍首相の緊張感を高め、経済再生 を数年以内に達成しその後財政再建を行う努力を強める契機になるだろ うと述べた。

米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)のソブリ ン格付け担当ディレクター、小川隆平氏(シンガポール在勤)は、日本 国債の格付けについて「基本的には10月から何も変わっていない」とし ながらも、「われわれが一番みているのは、日本政府がどうやって成長 と財政再建のバランスを維持しながら、両方を改善させていけるのか、 いけないのかというところ」と述べた。

--取材協力:Chikako Mogi、藤岡 徹、高橋舞子、三浦和美.

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE