政権交代なき衆院選公示、アベノミクス問う-「信任投票」とも

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衆院選(定数475議席)が2日公示 され、14日の投開票日に向けた選挙戦が正式にスタートした。2012年12 月の第2次安倍晋三政権発足から2年間の政治が問われる選挙で、経済 政策のアベノミクスや安全保障政策などをめぐる論戦が展開される。

各党党首は2日、各地で街頭演説し、支持を訴えた。自民党総裁の 安倍首相は福島県相馬市で、「この選挙を何としても勝ち抜いて、景気 回復の温かい風を全国に送り届けていく」と述べた。公明党の山口那津 男代表は横浜市で首相の消費増税延期判断に関して「その時期に合わせ て軽減税率を低所得者対策として導入することも決めた。ぜひとも自公 連立政権で実現したい」と語った。

民主党の海江田万里代表は福島県いわき市で、景気回復を実感して いるのは「本当に一握りの人」と話した。「今こそ流れを変える時。こ のスローガンで選挙戦を力一杯戦い抜く」と述べた。維新の党の橋下徹 共同代表は大阪市で「自民、公明、民主では絶対に改革はできない」と 語った。各党首の演説はインターネット動画中継サイト「ニコニコ動 画」が中継した。

政治評論家の森田実氏は衆院選について野党第1党の民主党が過半 数の238人以上の候補者を擁立できないことから、「今度の選挙は政権 交代選挙ではない。安倍政権の政策に対する信任投票になっている」と 語った。公認候補者は与党の自民が352人、公明が51人。野党第1党の 民主は198人で、海江田氏は1日の党首討論で、「残念ながら民主党単 独では過半数に足りない」と述べている。

共同通信が11月29日配信した電話世論調査(28、29両日実施)によ ると、比例代表の投票先として自民党を挙げた人が28.0%、公明党 が4.6%。野党では民主党が10.3%、維新の党が3.3%だった。朝日新聞 が1日付朝刊で掲載した調査では、比例代表の投票先として自民党 が34%、民主党が13%、維新の党が8%、公明党が7%。

候補者

自民、公明の連立与党は解散時、衆院定数の3分の2超の議席を確 保していた。今回の選挙でも国会を安定的に運営できる「絶対安定多 数」の266議席を引き続き確保できるかが焦点となる。

1日までの各党の発表によると、自民は300小選挙区のうち283選挙 区(比例単独69人)の計352人、公明党は9選挙区(比例単独42人)の 計51人でそれぞれ公認候補を擁立する。民主は178選挙区(比例単独20 人)の計198人にとどまり、維新の党は小選挙区と比例単独あわせて84 人、次世代の党は同47人。共産党は同315人。

12年衆院選の投票率は小選挙区が59.32%、比例区が59.31%で、09 年を10ポイント程度下回った。

安倍首相は1日の党首討論で、「衆議院の選挙は政権選択の選挙。 目標は過半数とするべき。目標をまずそこに設定しなければおごりが出 る」と語った。

海江田氏は維新、社民、生活などと調整を進めることで、「全部集 めて実は過半数を超えるような、自民党の過半数割れをなんとしても実 現するという思いが今もある」と語った。1日の党首討論では、アベノ ミクスや安全保障政策、原子力、社会保障政策などの政治課題が取り上 げられた。

消費増税

安倍首相は11月18日の記者会見で、15年10月から消費税率を10%に 引き上げる計画を17年4月に1年半延期する方針を発表。その上で、 「税制において大きな変更を行う以上、国民に信を問うべきである」と 解散を表明した。

ただ、与党時代に増税法案を成立させた民主党も延期を打ち出し、 他の野党も先送りや中止などを求めているため、増税延期自体は選挙の 争点になっていない。

ムーディーズ

米格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスは1日、日 本の政府債務格付けを「Aa3」から1段階引き下げ「A1」とすると 発表した。

同社は発表資料で、格下げの理由として「財政赤字削減目標の達成 可能性に関する不確実性の高まり」、「デフレ圧力の下での成長促進策 のタイミングと有効性に関する不確実性」、「それに伴う中期的な日本 国債の利回り上昇リスクの高まりと債務負担能力の低下」を挙げた。

世耕弘成官房副長官は2日午前の会見で、格下げについて「コメン トすることは差し控えたい」としながらも、今後の経済財政運営につい て「成長戦略を着実に実施しながら、財政健全化目標の達成に向けて引 き続き最大限努力をしていきたい」と語った。

--取材協力:広川高史、淡路毅.

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