債券は反発、5年債利回り過去最低-10年入札低調も0.5%付近で買い

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債券相場は反発。きょう実施の10年 国債入札結果が低調となったことを受けていったんは売りが膨らんだ。 その後は買いが優勢となり、先物は最高値を更新し、新発5年債利回り は過去最低を記録した。

長期国債先物市場で中心限月の12月物は前日比7銭安の146円83銭 で開始し、しばらく寄り付き付近でもみ合った。午後零時45分の入札結 果発表後に25銭安の146円65銭まで下げたが、その後は水準を切り上 げ、取引終了前には146円97銭と、1日に付けた史上最高値146円96銭を 更新した。終値は5銭高の146円95銭だった。

メリルリンチ日本証券の大﨑秀一債券ストラテジストは、10年債入 札について、「日本国債が格下げされたのと、今週は欧州中央銀行 (ECB)の定例理事会や米雇用統計発表などのイベントがあるため、 投資家があえて高値で買わなくてもと、様子見姿勢を強めている」と説 明した。ただ、「相場が急落しているわけではなく、格下げで深刻な懸 念が広がっているわけではない」とも話した。

日本相互証券によると、現物債市場で長期金利の指標となる新発10 年物国債の335回債利回りは前日午後3時時点の引値より2ベーシスポ イント(bp)高い0.44%と、11月26日以来の高水準で開始した。午後は一 時0.445%に上昇後、0.415%まで低下。その後は0.42%で推移した。

5年物の120回債利回りは午後2時前に0.5bp低い0.09%に下 げ、2013年3月4日に記録した新発5年物としての最低水準0.095%を 下回った。午後3時前後には0.085%と最低水準を更新した。

需給環境は良好

現物債の堅調推移について、12月が国債の大量償還月となるため、 再投資の需要が強いことが一因との見方が出ている。岡三証券の鈴木誠 債券シニアストラテジストは、「短国市場から中期ゾーンにかけて利回 りは低下し、超長期ゾーンも引き続き需給環境は良好。国債大量償還も 踏まえると、10年金利の上がりにくい構図は変わらない」と話した。

財務省が実施した表面利率0.5%の10年利付国債(336回債)の入札 結果によると、最低落札価格は100円15銭と事前の市場予想を10銭下回 った。落札価格の最低と平均の差(テール)は10銭と昨年6月以来の大 きさ。投資家需要の強弱を示す応札倍率は3.01倍と昨年7月以来の低水 準となった。

大和住銀投信投資顧問の奥原健夫シニアファンドマネジャーは、 「12月最初の入札は鬼門となることが多く、今回も時期的に良くなかっ た」と述べた。「外資系証券が決算前で取引しにくい上、先物限月交代 を控えるタイミングの悪さや、きのうムーディーズが日本国債の格下げ を発表したことも多少影響したようだ」と説明した。

今回入札された10年物の336回債利回りは一時0.48%まで上昇した 後、0.45%まで買われた。大和住銀投信の奥原氏は、「利回りの0.5% 近くでは明確な押し目買いが見られた」と話した。

米格付け会社ムーディーズは1日、日本の政府債務格付けを「Aa 3」から1段階引き下げ「A1」とすると発表した。見通しは「安定 的」とした。日本の格付けは「Aa3」の中国や韓国よりも低くなる。

メリルリンチ日本証の大﨑氏は、ムーディーズの格下げについて、 「日本国債は国内の投資家が大半を保有しているので、格下げで売りが 本格的に広がるとは考えにくい。ただ、今回はシングルA格に下がった ので、適格担保から外れるケースも出てくる。海外勢からの売りが短期 的には出てくる可能性はある」と述べた。

さらに、「格下げはネガティブであることは確実だ。日銀が値段に 関係なく買っていくので金利が大幅に上昇するとは考えにくいが、完全 にマネタイゼーションと言われても仕方がない状況ではある。日銀によ る巨額の国債買い入れを背景に、債券市場が持っている財政規律に対す る温度計の機能は損なわれてしまっている。格下げで財政再建に向けた 緊張感が少しでも出てくることを期待したい」と話した。

--取材協力:野沢茂樹、赤間信行.

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