今週の債券市場で長期金利は0.4% 割れを試すと予想されている。原油価格の下落や欧州の追加緩和観測の 強まりから金利低下圧力が掛かりやすいとの見方が背景にある。

長期金利の指標となる新発10年物国債利回りについて、ブルームバ ーグ・ニュースが前週末に市場参加者3人から聞いた今週の予想レンジ は、全体で0.38-0.45%となった。前週末には一時0.415%と、過去最 低を記録した昨年4月5日以来の低水準に達した。2年国債利回りはマ イナス0.005%と初めてマイナス金利を付けた。

4日に欧州中央銀行(ECB)会合が開催される。前週末に発表さ れた11月のユーロ圏インフレ率は低下し、5年ぶり低水準に並んだこと から、市場ではECBが追加策に迫られるとの見方が強まっている。

野村証券の松沢中チーフストラテジストは、「欧州量的緩和と原油 安が現在の相場を支配するテーマ」だと指摘。「これらが一巡するまで 金利が上昇トレンドに入る素地は整わないだろう。前者は来年1-3月 中に見えてきそうであるが、それまでに原油価格が下げ止まる均衡点を 見つけ出しているか予断を許さない」と言う。

原油安

前週末の原油先物相場は大幅安。ニューヨークのウェスト・テキサ ス・インターミディエート(WTI)は5年ぶり安値となった。石油輸 出国機構(OPEC)が供給過多の緩和に向けた減産を見送ったことに 反応した。長期に渡って物価上昇が鈍るとの見方から、米国債相場は続 伸し、米10年国債利回りは2.16%と約1カ月ぶりの低水準を付けた。

大和住銀投信投資顧問の奥原健夫シニアファンドマネジャーは、 「OPECが生産目標の減額で合意できなかったこともあり、原油価格 はいずれ1バレル=60ドル近辺への下落を想定している」と言う。

12月2日に10年利付国債入札が実施される。表面利率(クーポン) は前回債より0.1ポイント低い0.4%か、横ばいの0.5%となる見込 み。0.4%で決まれば同入札で過去最低となる。発行額は前回債と同額 の2兆4000億円程度。

野村証の松沢氏は、「欧州から逃げてくる海外勢の積極的な購入に よって短国金利のマイナス化が収まらず、むしろ短中期債にその影響が 広がりつつあるため、金利収入確保のため年限を伸ばしてくる地方銀行 などの需要はある程度見込めるだろう」とみる。

4日には流動性供給入札が予定されている。投資家需要の強い既発 国債を追加発行する入札で、今回の対象銘柄は残存期間15.5年超から39 年未満。発行額は3000億円程度となる。

市場参加者の今週の先物中心限月と新発10年債利回りの予想レンジ は以下の通り。

◎大和住銀投信投資顧問の奥原健夫シニアファンドマネジャー

先物12月物146円50銭-147円50銭

10年国債利回り=0.38%-0.45%

「物価上昇率がグローバルに下振れする可能性があり、内外債券市 場で金利の下押し要因となろう。10年債入札前後に売られる場面があっ ても、入札後は再び買い圧力が強まるとみている。実際、原油安やこれ に伴う物価の先高期待の後退により、債券を持たざるリスクが意識され そう。5年や7年ゾーンについては、マイナス金利を付けた2年債との 比較で割安感があり、中期ゾーンの金利にも低下余地がありそう」

◎三菱UFJモルガン・スタンレー証券の稲留克俊債券ストラテジスト

先物12月物146円80銭-147円30銭

10年国債利回り=0.38%-0.43%

「原油価格が下がる中、世界的にインフレが盛り上がらず、米国の 利上げ先送りの連想などで世界的に金利が下がりやすい状況にある。円 債では日銀の買い入れなどによる需給面での好地合いが続くとみられ、 金利の低下基調は続こう。ただ、超長期セクターにおけるボラティリテ ィの高い状況も続くとみられ、これが全体の足かせとなる可能性はあ る。週初は12月の日銀買い入れ枠を確認した上での相場となりそうだ」

◎三井住友アセットマネジメントの深代潤債券運用グループヘッド

先物12月物146円70銭-147円10銭

10年国債利回り=0.40%-0.44%

「高値圏でのもみ合いか。11月末にかけて買い材料を一気に織り込 む格好で金利が低下したものの、月が替わるので注意が必要。ただ、相 場の構造が変わるわけではない。10年債入札に絡んでヘッジ売りなどで 振れる場面も想定されるが、日銀は買い入れを継続。材料では1日発表 の7-9月期の法人企業統計調査に注目している。同期の国内総生産 (GDP)は在庫や設備投資が極端に下振れしてマイナスとなった」

--取材協力:赤間信行、酒井大輔 Editors: 崎浜秀磨, 山中英典

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