【クレジット市場】欧州銀サムライ債急増、追加緩和で投資意欲も拡大

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欧州系金融機関のサムライ債発行が 急増し、今年の起債額はすでに年間の過去最高を更新した。日本銀行の 追加金融緩和で円金利が一段と低下する中でリスクプレミアムの乗った サムライ債を求める投資家の意欲が拡大、資金調達先の多様化を目指す 発行体との意向が一致した。

サムライ債発行額は11月27日時点で2兆4200億円と、過去最高だっ た2008年の2兆3000億円を超えた。仏クレディ・アグリコルやドイツ銀 行、英ロイズ・バンキング・グループが復帰して欧州系金融機関では1 兆1600億円と前年比57%増。関係者によると、仏BPCEは2日にも起 債し、サムライ債発行額はさらに増える見込みだ。

日銀は10月31日に異次元緩和を拡大、日本企業の社債平均利回り は0.31%と少なくとも15年間で最低水準まで低下した。またボラティリ ティ上昇を背景に11月の発行額は27日時点でサムライ債を下回り、質量 両面から投資家のサムライ債選好が強まった。

みずほ証券の金子良介クレジットアナリストは欧州系銀行につい て、調達構造の偏りや一部でオーバーローンなど「ファンディング問題 を抱えている傾向がある」とし、調達先を多様化しないと「リーマンシ ョックのような緊急時に行き詰る恐れがある」と指摘。一方、国内投資 家は「追加緩和でなかなか金利上昇が見込みにくい中でプレミアム物へ の意識は強まらざるを得ない」とサムライ債の投資意欲が高いと話す。

ブルームバーグ・データによると、時価総額で上位10位以内の欧州 系銀行のうち、5行が今年、サムライ債を発行。上位20行で見ると、9 行が起債している。

バーゼル3

バーゼル銀行監督委員会のイングベス議長は、世界金融危機の教訓 として「短期的で変動の激しい調達手段への過度な依存を回避する必要 性」を挙げており、ファンディング・ルール導入の考えを明らかにして いる。

また、金融機関の国際的な自己資本規制(バーゼル3)に適合した 劣後債の発行額は今年これまでに、2589億ドル(約30兆円)に達し、昨 年の約5倍に上っており、日本でも発行が始まっている。

オランダのラボバンクは先月、米スタンダード・アンド・プアーズ (S&P)に「Aプラス」に格下げされた。既にユーロ建てとポンド建 てでバーゼル3対応債を発行したのに続き、日本でも初の劣後特約付き サムライ債の発行登録をした。

昨年サムライ債発行額で2位となったグループBPCEの投資銀行 部門ナティクシスのペルケル・オリヴィエ最高経営委員会委員は、「マ ーケットの奥深さ、投資家の質、投資可能な資金量」の面で「日本市場 がとても気に入っている」と語った。投資家からの需要増を背景に、個 人投資家向けに売出債を発行することも検討していると話した。

メリルリンチ証券の上田祐介チーフクレジットアナリストは「日本 は世界一お金が余っている」とし、市場として「大きい金融機関に甘 い」と述べた。海外発行体にとっては調達量の確保が重要なため、日本 市場は適していると語った。

スプレッド

バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチの指標によると、サムライ 債の対国債スプレッドは平均で43ベーシスポイント(bp、1bp =0.01%)と、日本の社債平均の21bpを倍以上上回っている。

ナティクシスのペルケル氏は「日本の投資家は生保であれ、他の金 融機関であれ、利の乗った金融商品を非常に求めている」と語った。

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