パナマ運河庁長官:年内にも新通航料金を発表-来夏に新水路試験操業

パナマ運河庁のホルヘ・キハーノ長 官は、来年末の拡張工事完了後に通航が可能になる大型の液化天然ガス (LNG)タンカー通航料などを含んだ新たな料金体系を年内にも発表 する考えを明らかにした。同長官が都内でインタビューに応じた。

同氏は、パナマ運河庁の理事会の承認が必要な新料金設定をめぐる 協議は「現在最終段階に入っている」と話した。その上で、各国の海運 会社や業界団体などと2年にわたる協議を重ねてきたことから、新たな 通航料が「サプライズになるようなことはない」との見方を示した。

北米や南米からアジア向けにコンテナ船で荷物を運ぶ場合、スエズ 運河やアフリカ大陸の喜望峰を経由するルートも選択肢に入る。同氏は 「そういった選択肢に対しても競争力のあるものにならなければならな い」とし、「料金戦略は慎重なものにならざるを得ない」と話した。

パナマ運河は世界の物流の重要な拠点と位置付けられており、海運 各社などは通航料の動向を常に注視している。同運河庁が12年、13年に 続けて値上げを発表したことを受け、日本船主協会は意見書を提出し値 上げの際には事前協議を行うよう申し入れた。

日本船主協会のウェブサイト上に掲載された提言によると、同協会 の武藤光一副会長(商船三井社長)は、一方的な値上げを続けることは 貿易上の大きなリスク要因となり、「世界経済の発展の妨げになること を認識して欲しい」と主張。さらに、安価な米国産シェールガスをベー スにしたLNGの輸入でエネルギー調達コストの削減を目指しているこ とから「日本のエネルギー政策への影響も大きい」とし、「深慮を求め たい」と訴えた。

LNGタンカーに新方式採用

競争力のある料金の一例として、キハーノ氏はLNGタンカーの通 行料金について、算定のベースとなる船の規模の測定方法で調整する考 えを示した。現在は船舶のサイズをベースに料金を算出しており、米国 から運河を通って日本などに運ばれている液化石油ガス(LPG)タン カーの通航料もこの方式で決められているという。しかし、今後新たに 受け入れる大型LNGタンカーについては、LNGタンクの容積で通航 料を決める方式を採用すると話した。

同氏によると、パナマ運河庁は来年7-8月ごろから閘(こう)門 と呼ばれる水位調節用設備の試験操業を開始し、「早ければ16年1月 末、遅くとも3月末までに」は商業運用を始める計画だという。米国産 LNGを積んだ最初のタンカーが通航するのは16年第2四半期以降にな り、17年から18年にかけてLNGタンカーの往来が本格化するとの見通 しを示した。

現在、パナマ運河を通航するタンカーのうち、穀物や鉱石などを積 むばら積み船が28%(隻数ベース)、コンテナ船が24%、化学品タンカ ーが12%を占める。石油タンカーは5%、ガスタンカーの割合は2%に とどまっているが、拡張工事の終了後にはこれら2種類のタンカーの通 航量が「大きく増えることになる」と話した。

パナマ運河庁は新運河の通航が可能な船の全幅は最大49メートルに 設定。カタールからのLNG輸送に利用されている大型タンカーの全幅 は50メートルと、この上限を超える。キハーノ氏は「将来的には全幅52 メートルを上回るような大型船を受け入れることがあるかもしれない が、最初の段階ではない。まずは十分なスペースを残して安全に運用を 開始したい」と話した。

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