民主党の大塚耕平政調会長代理は日 銀の追加緩和の実施に伴う円安水準について「明らかに安過ぎる」との 認識を示した上で、「購買力平価でいうと100円を挟んで95円から105円 が適正水準」との見解を示した。

大塚氏は26日、ブルームバーグ・ニュースとのインタビューで、日 銀の量的・質的緩和政策を否定し、円安によるコスト増や実質賃金の低 下につながらないよう国民生活に配慮した金融政策の必要性を求めた。

大塚氏は、民主党政権時の「150兆円を下回る程度のマネタリーベ ースの水準を2-3年間維持し、その間に産業政策や雇用政策を打て ば、為替は緩やかに100円前後に戻り、株も徐々に1万5000円程度に戻 っただろう」と述べ、1年半で100兆円も増やした日銀の金融政策に否 定的な考えを示した。ドル・円相場は足元1ドル=117円台後半で推移 している。

民主党は来月の衆院選に向けて発表した選挙公約で、過度な円安へ の対応として「補助金交付を通じたガソリン・軽油・灯油などの価格高 騰対策など円安によるコスト増大に苦しむ生活者、中小企業、農林水産 業者の支援」を明記。日銀に対しても「過度な異次元緩和よりも、経 済、財政状況、市場環境を踏まえた金融政策」を求めている。

疑いようもない財政ファイナンス

大塚氏は民主党が目指す金融政策について、物価上昇が所得の増加 を上回らない、過度の円安を招かない、財政ファイナンスにつながらな い-とした3点を説明。その上で、黒田東彦日銀総裁による金融政策に ついて「事実として財政ファイナンスに入っていることは疑いようもな い。是正されるべきだ。財政健全化を求めつつ、財政ファイナンスを手 助けするというパラドックスに陥っている」と指摘した。

安倍晋三政権は量的緩和による円安・株高によるデフレ脱却を目論 む。黒田総裁は昨年4月の政策決定会合で、「2年程度」の期間を念頭 にできるだけ早期に2%の物価安定目標を目指し、マネタリーベースと 長期国債の残高を2年で2倍に増やす方針を決めた。先月31日には市場 予想に反して緩和規模を大幅に拡大した。足元のマネタリーベース は256兆円(10月現在)に膨らんでいる。

大塚氏は「黒田総裁は消費税の判断とは関係ないとその後の会見で 発言しているが、消費税率の8%から10%への引き上げを前提に景気の 下支えを狙った追加緩和だったのは明らかだ。その結果として日銀の金 融政策と経済見通しが今、不整合な状態で運営されている」とみてい る。

消費者物価指数(生鮮食料品を除いたコアCPI)は4月以降3% 台で推移しているが、消費税率引き上げ分の影響がそのうち2%程度と され、実質的な物価は1%台にとどまっている。大塚氏は「先行きの見 通しも消費増税を念頭に数値をおいており、増税が先送りになったこと で見通しはもっと下振れる」と予想した。

2%の物価上昇率は不適格

その上で「どんなことをしても2%を達成するという前提でバズー カ砲を暴発させたのに、それでは足りないという因果関係になる。次に 何かやることを表明しなければ論理矛盾だ」と述べ、「金融政策だけで 2%の物価上昇率を実現するという目標自体が、今の人口減少と成熟経 済のもとでは不適格だったことは明らかだ」と述べた。

日銀の追加緩和の決定と同じ日に年金積立金管理運用独立行政法人 (GPIF)の新資産構成が発表されたことについては、「GPIFの 株式投資比率の引き上げとセットでやるのはあざとい。GPIFがそれ に伴い放出する国債の量と日銀が追加で購入する国債の量が30兆円とど んぴしゃり。皆、分かってやっている」とも語った。

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