GPIF:国内債初の50%割れ、日本株8年ぶり水準-7~9月

更新日時

世界最大規模の年金基金、年金積立 金管理運用独立行政法人(GPIF)は、運用資産に占める国内債券の 割合が9月末に初めて50%を下回った。国内株式は株価の上昇を主因に この時点での上限18%を超え、8年半ぶりの高水準を記録した。

GPIFが25日午後に公表した今年度第2四半期(7-9月)の運 用状況で明らかになった。9月末の国内債残高は64兆9282億円で、構成 比は49.61%と前身の年金資金運用基金として積立金の自主運用を始め た2001年度以降で最低。過去最高だった08年12月末の75.90%から26ポ イント超も低下した。国内株は過去最高の23兆8635億円。構成比 は18.23%と06年3月末以来の高水準となった。

外国債券の残高は15兆8863億円。構成比は12.14%に上昇した。外 国株式は22兆7828億円で17.41%。外債と外株は残高、構成比がともに 最高を更新した。運用資産額は130兆8846億円。昨年末の128兆5790億円 を上回り、比較可能な01年度以降で最高を更新した。自主運用開始以来 の累積収益額は41兆2860億円に達した。

政府と日本銀行が経済活性化と2%インフレを目指す中、GPIF は将来の金利上昇で評価損が生じる恐れのある国内債偏重の見直しやリ スク資産拡大で収益向上を求める圧力に直面。10月末には基本ポートフ ォリオを内外の株式と債券が半分ずつで、国内資産が6割・外貨建て資 産が4割という分散型に変えた。7-9月の運用状況はGPIFが新資 産構成に向け、発表前に一歩を踏み出していたことを示している。

入れ替えの時間軸

BNPパリバインベストメント・パートナーズの清川鉉徳取締役運 用本部長は、9月末時点の資産構成について「国内債の比率が少し少な い印象だが、大きなサプライズはない」と指摘。資産構成の変化の「時 間軸についてGPIFからの発表がないので、判断は難しいが、国内株 式の買い余力はある」と語った。

GPIFは先月末に基本ポートフォリオを見直し、国内債の構成比 を従来の60%から35%に下げる一方、内外の株式は12%ずつから25%ず つに、外債も11%から15%へ引き上げた。5%だった短期資産の区分は 廃止。まだ実績公表のないインフラ投資やプライベートエクイティ (PE)、不動産をオルタナティブ(代替)投資とし、案件の特性に応 じて各資産に区分し、全体の5%を上限とした。

目標値からの上下の乖離(かいり)許容幅も、資産構成の見直しに 伴い変更。国内債は従来の各8%から10%に、国内株も同6%から9% に拡大。外債は同5%から4%に縮小し、外株は同5%から8%に広げ た。保有資産の大規模な入れ替えが市場に悪影響を及ぼさないよう、移 行期間や期限は設けず、乖離許容幅からの超過を容認すると表明した。

リスク資産、すでに到達

GPIFは政府の有識者会議が昨年11月に国内債偏重の見直しやリ スク資産の拡大検討などを求めた提言を踏まえ、今年度は基本ポートフ ォリオの変更を視野に、乖離許容幅の弾力的な適用を4月に表明。9月 末の資産構成は、国内債が従来の下限52%を下回る一方、国内株と外株 は18%と17%だった従来の上限を超えた。ただ、相場上昇に伴う時価評 価額の増加分を割り引くと、買い増しによる残高増は限定的となる計算 だ。

新基本ポートフォリオは短期資産を独立した項目として持たないた め単純な比較は難しいが、9月末の資産構成は国内債が新基本ポートフ ォリオでの上限45%まで5ポイント弱と近づく一方、国内株と外債、外 株は下限をすでに超えている。

政府の有識者会議で座長を務めた伊藤隆敏教授は先月のインタビュ ーで、GPIFは保有資産の入れ替えを新基本ポートフォリオの発表前 に始めるべきだと主張。時間がかかる巨額の売買を発表後に始めると、 他の市場参加者に先回りされ、日本株や外貨建て資産を高値づかみする 羽目に陥りかねないと説明した。

収益率は2期連続プラス

GPIF運用委員会の米沢康博運用委員長は11日、ロイター通信と のインタビューで、GPIFは新基本ポートフォリオの発表前に国債の 売却を開始したと述べた。

日本証券業協会の統計によると、GPIFを含む年金基金の売買動 向を映す「信託銀行」は10月に中・長期・超長期国債を1兆286億円売 り越し、国庫短期証券(TB)などを1兆944億円買い越した。東京証 券取引所のデータでは「信託銀行」は、GPIFが新基本ポートフォリ オを発表するまでの14週間で日本株を合計1兆超も買い越したが、発表 後の2週間では売り越しに転じている。

バークレイズ証券の福永顕人チーフ債券ストラテジストは、 GPIFは今年度下半期に国内債を約6兆円減らす一方、国内株を2.5 兆円、外債を1兆円、外株を2.5兆円程度増やすと予想。緩やかな株 高・円安基調が続けば、来年3月には国内債比率が新基本ポートフォリ オの乖離許容幅の範囲内に入るとみている。

GPIFの7-9月期の運用収益は3兆6223億円で、収益率 は2.87%。国内外での株高や円安を背景に2期連続のプラスで、08年度 以降の四半期では6番目の高水準となった。国内株の収益額は1兆2892 億円で、収益率は5.78%。外債は8108億円で5.51%、外株は1兆1779億 円で5.64%。国内債は3152億円で、収益率は0.53%にとどまった。

長期金利の指標となる新発10年物国債利回りは9月末に0.525%。 6月末から4ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下した。 TOPIXは5%高い1262.56。米国債の10年物利回りは2.49%と4b p下げた。米S&P500種株価指数は0.6%上げて1972.29だった。円の 対ドル相場は1ドル=109円65銭と8.2%下落した。

--取材協力:竹生悠子.

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE